Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第24章 It's SHOW TIME!【真田一三ルート】
ここしばらく、ずっと夢みたいな現実を過ごしてきたけど、やっぱりこれは長い長い夢だったのかもしれない。
だけどテーブルの下の脚をツネっても、目は覚めない。
「さ、真田さん……これ現実ですよね?」
「少なくとも僕はそう思ってるけど……夢なら覚めて欲しくないな」
「……たしかに」
「それで、どうなの?ちゃんは」
「そんなの……言わなくても分かります、よね……?」
「まあね。でも聞きたいの。ちゃん……僕と付き合ってくれる?」
「っ……あの……は、はい、おねがいします……」
その後のお肉はもう味が良く分からなかった。あんなに美味しいと思ってたのに、もう胸がいっぱいで喉を通すのがやっとなくらいで……
食事を終えて店を出る時に店員さんにもらった、ブドウ味のタブレットを舐めながら、再び車に乗り込んで。
「今日はもう少しだけ時間いい?」と言われ、「もちろんです!」と答えたら……しばらく走った車が着いた先は、静かな海沿い……綺麗な夜景の見える所だった。
車内からキラキラの光の群れを眺める。
「うわぁ……夜にここ来たの、初めてです!こんなだったんですね……すごい……」
たまにポツポツと会話をしながら、一体どれくらいそうしてただろうか。
「ほんと、綺麗だよな……」
「はい……っ!?」
ふと右手の甲に温かい感触……すぐに手を握られたのだと理解したけど……どうしたらいいものか。身体が硬直してしまった。
「……ちゃん」
「はい……っ!」
すると握られた手を軽く引かれて、身体ごとそっちに行きかけた瞬間……ほんの短い間だけど、真田さんの唇が私の唇に触れた。
キス、したみたいだ……?!
顔が熱い。きっと赤いだろう……でも暗いから、バレないかな……
そーっと真田さんへ視線を向けると、ニッコリ笑い返される。
「帰ろうか」
「は、はい……」
すっとドキドキが収まることは無いまま、自宅に着き。
車を降りる間際に頭を撫でられて、その手が頬に触れてきた……また、キスされるのかと思って、ギュッと目を瞑る。
「かわいい……おやすみ」
唇に柔らかく触れてきたそれは、チュッと小さな音を立てて離れる。
「おや、すみなさい……」
なんとか挨拶の文言を振り絞って発し、車を降り、家に入った。