Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第24章 It's SHOW TIME!【真田一三ルート】
いつの間にか緊張は解けていて、気付けば結構な時間が経っていた。今日の練習会も終わりとなる。
「送るよ」と言ってくれた真田さんを断る理由もないので。また彼の車の助手席に乗って、自宅の場所を告げた。
「今日来てみて……どうだった?」
「すっごく楽しかったです!それに、すごく、勉強になりました!」
「そう。それで……アシスタントになるかって話だけど……どうかな」
「……やってみたい気持ちは、あるんですけど……」
「それならやろうよ」
「……でも私、何もできないのに」
「だから……言っただろ?最初はできないのが当たり前。むしろちゃんはマジックのこと元々よく分かってるから、コッチとしては教えるのもラクなくらいだ」
正直な所、あんなキラキラした人達の中に自分が混ざれる自信が全く無いのだ……
でも、やってみたいとは思う……やりたい。
「嫌なら無理にとは言わないけど……僕はちゃんと一緒にやりたいよ?」
「ほんとにほんとですか?……じゃあ……よろしくお願いします」
「いいのか?」
「はい!」
「あーよかった……よし……そうと決まれば……ついでだし一度親御さんに挨拶させてもらってもいい?」
「へっ!?親ですか?」
「今日もこんな時間だし、これからもっと遅くまで付き合ってもらうことも、遠くに連れてくこともあるだろうし」
「……ウチは別に大丈夫だと思いますけど」
「それでも、大事なお嬢さんを預かるんだから、大人としてね」
私そんなに子供じゃない!と言いたい所だけど……未成年なのは確かだし……真田さんの言ってる事はごもっともか……
ウチの両親は良くも悪くも放任主義、好きにしなさいって感じだ。しかも母に関しては、私程ではないけど真田さんのことは好きだし、OKされる気しかしない。
(私がアシスタントに誘われた事も知ってるし、熱烈に羨ましがられたくらいだ)
予想通り、真田さんを連れて自宅に帰れば気持ち悪いくらい母の表情は明るくなって。アシスタントの件も、快諾だった。
終いには「真田くんも夜ご飯食べてく?」なんて言い出したから恥ずかしいのなんのって……
まあとにかく、私はこれから真田さんのアシスタントになれるよう練習を積むことが決まった。
ほんと、ここ数日の全部が夢みたいだ……けど、夢じゃない。