Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第24章 It's SHOW TIME!【真田一三ルート】
動き出した車の中、真田さんが先に口を開いた。
「ちゃんって、ほんとに高校生だったんだな」
「そうです、けど?」
「服装のせいかな、この前は随分大人びて見えたからさ」
「あーそれは……あの日はめちゃくちゃ気合い入れてましたもん!快斗にも“馬子にも衣装”とか言われましたし……」
「綺麗だったけどね、すごく」
「ええっ!?あ、ありがとうございます……でも私なんてまだまだ子供ですから……」
「まあ制服姿だと……なんか悪いことしてる気分になってくるな」
「……っ!?すみません、着替え持ってくればよかった」
「いいってそのままで。可愛いから」
「か、かっ……!?」
綺麗だとか可愛いとか言われて、嬉しいやら恥ずかしいやらで頭の回線がパンクしそうだ……大人の男の人って、そういうことサラッと言うんだな……なんて言うんだっけ……あ、あれだ、社交辞令。
気を取り直してチラリと運転席に目を向ける。
今日の真田さんはタキシードじゃない。そりゃあ四六時中あんな格好な訳ないのは分かってるけど……ものすごく貴重な映像を見てる気分。
これって現実なんだよな……
車を運転する真田さんは……大人の男の人って感じ(当然だけど)。
彼みたいな素敵な大人の人と、いつか私も付き合えたらいいな……車で遠くまで出掛けて、あれして、これして……
って、そんな妄想で一人ドキドキしていた。
しばらくして着いたのは、真田さんの事務所と練習スタジオが入ってるらしいビル。パッと見ただけじゃ何階建てか分からないくらい高い。この中の2フロアが真田さんの持ち物なんだそう。
ビルの中に入り練習スタジオに通されると、中には女性と男性が一人ずつ……
「キャー!この子が!?」「おー!マジで女子高生!」
その二人がイキナリ駆け寄って来て、私は入り口近くでフリーズしてしまった。
「おいおい……怖がってるだろ……ごめんな、ちゃん……」
「い、いえ……大丈夫です……」
その二人は真田さんのアシスタントの女性と、マジシャン仲間の男性なんだと紹介された。それから私の紹介もされ。
よくよくそのお二人の顔を見れば……女の人はこの前のショーにも出てたアシスタントさんだし、男の人は結構有名なマジシャンの方!
皆さん、私服だと全然イメージ違う……!