Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第23章 It's SHOW TIME!【黒羽快斗ルート】
「なあ……考えてくれたか?」
「それは……昨日の、あの、こと?」
「他に何があんだよ」
「そう、だよね……ごめん、まだ、なんだよね……」
「ふーん……じゃ、特訓始めるか。こっちだ」
急にパッと快斗の雰囲気が変わり、いつもの顔付きに戻った。昨日と同じだ。
立ち上がりテレビを消した彼は、リビングを出て行こうとする。私もその後ろについて歩く。
実は快斗に距離を詰められた時、一瞬、キスされるかも、なんて思ってしまった自分が恥ずかしい。
でも……もし、キスされてても……嫌じゃなかったかもしれない。それって……どうなのだ……
マジックの練習部屋のような所に入って、その後はしばらく、快斗の話を聞いて、見て、マネして、ダメ出しされて、の繰り返し。
些細なミスも許してもらえない。
何度も何度も同じことを繰り返して、何度やっても全く同じように出来なければいけないんだと。
大変さを思い知らされると同時に、快斗のマジックへの熱意がヒシヒシと伝わってきて……なんて言うか……初めて彼に対して尊敬に近いものを感じた。
快斗とは歳も同じ、普段は一緒に遊んで笑ってるのに……その彼が自分よりもすごく高い所にいる気がして。
そんな快斗に自分も追いつきたいし、一緒にもっと高い所へ上りたい……真剣な快斗を見ながら、そんな気持ちでいっぱいになった。
お昼近くになって一旦練習は休憩となり。
近所のコンビニでお昼ご飯を調達して、また快斗の家に戻り、リビングの食卓に向かい合って座り、食べる。
ちなみに私はカルボナーラ、快斗はカレーライスだ。
「意外と大変だろー?マジックも」
「うん……快斗ってすごいよ、ほんとに」
「やっと分かったか」
「かなり見直した。尊敬しちゃうくらいね」
「惚れちゃうくらい?」
「そうかも」
「マジ……?」
「えっ……あ!えぇっ!?」
自分で言ったことに自分が一番驚いた。食べる手を止め、慌てて訂正を試みる。
「あの、違うの!えっと、その……」
「なんだよ……」
「私は、快斗の真剣さにホレボレしたっていうか……感化されたっていうか……」
「もーいんじゃね?認めろよ、俺が好きだって」
「……なんでそうなるの」
「あのな、人を好きになるのに理屈なんてねーんだよ、は俺が好きだって顔に出てるぜ?」