Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第23章 It's SHOW TIME!【黒羽快斗ルート】
自分達以外誰の姿もない静かな住宅街。たまに車が通り過ぎるだけの道の端っこで、私はただ黙って下の方を見つめることしかできなくて。
そんな中、また快斗がポツリと呟いた。
「…………ちゃんと、男と女として、俺と付き合って欲しい……」
……なんて答えればいい。
「あのさ……少し……」
「少し?」
「時間がほしい……待ってもらえる……?」
「いーけど。どんくらい?」
「……分かんないよ、そんなの」
快斗は、いいやつ、普通に好き。特別仲が良いのは間違いない。
だけど付き合うとなると……絶対嫌!って訳でもなければ……すぐに頷ける訳でもなくて……
「そか。じゃー明日、起きたら家に来いよ。早速マジックの特訓だ」
「っえ……?わかった……」
ずっと肩を握られてた手がふっと離れて、ポン!とそこを叩かれ。ケロッとした様子に戻った快斗は、それこそいつもみたいな調子でそう言い、また歩き出した。
快斗を追いかけるようにして家の前まで辿り着き、再び向かい合う。
「んじゃ、明日な」
「う、うん……」
「今日の、最高に綺麗だった。ま、いつものもいーけどなー」
「……あ、ありがと……じゃあ、また、明日ね」
クルっと背を向けて、快斗が去っていく。
なんか調子狂う……胸騒ぎが鎮まらない。
今日はずっと真田さんの事で頭がいっぱいだった筈なのに、今は快斗が脳内の大半を占めている。
快斗のことは好きだし、ずっと仲良しでいたい。けどそれを“付き合う”に結び付けてもいいものなのかは……分からない。
うーん……前に告白されて男の子と付き合ったこともあったけど、告白されるまではよく知らない相手だったし、OKしたのは“いい人そうだから”とかそういう理由だった、か。
ちなみにその相手と別れた(フラれた)理由っていうのは、私がその人よりも、友達と遊ぶのとか、テレビのマジック特番を優先したからだったと思う。
私も行動を制限しようとしてくる相手に嫌気が差してたし、終わりは本当に呆気なかった。
……快斗はそんなことでは怒らなさそう。
だけど……付き合うってことは、その……キスしたり、それ以上のこともするってことでしょ……?
えええ……ええ!?
考えたらとてつもなく恥ずかしくなってきた。