Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第22章 It's SHOW TIME!【快斗/真田共通ルート】
快斗はプロのマジシャンとしてデビューを目指してるらしくて。この前はあの有名マジシャンの真田一三とも一緒に練習したんだとか……
何を隠そう私は真田一三の大ファンだ。そもそも真田さんって顔こそイケメンだけど、ステージの上で華麗にマジックを披露する姿は本当にカッコよくて……大好きなのだ。
彼のマジックショーのチケットは毎度入手困難で。前に一度だけ、運良く見に行けたときは、感動しすぎて泣きそうだった。
だ、か、ら。私は先日から、真田さんのショーのチケットをなんとか取ってもらえないか、快斗にお願いしているのだ。
数日後の朝のこと。
快斗が登校時間ギリギリに教室へ入ってくるなり、私の前に紙切れを2枚チラつかせてきた。
……何かのチケットのように見えるそれ。
「快斗!もしかして!もしかする!?」
「……感謝しろよー?招待客用の特等席だぜ。しかも!真田さんのご厚意でタダ」
「っ!!!ありがとーーー!!!」
ヒラリと見せられた紙切れには、“Kazumi Sanada MAGIC DINNER SHOW”の文字!朝からテンションは爆上がりだ!快斗が友達で本当に良かった!
意気揚々と両手を出してチケットを受け取ろうとする。が、もらえたのは1枚だけ。
「あれ……1枚だけ?」
「俺も一緒に行くの。真田さんのステージ1回生で見てみたかったしなー……」
「なるほど!いいよ!行こう!うわー!ありがとうね!」
飛び跳ねそうな勢いで我を忘れて喜ぶ。
それは、チャイムが鳴ったのにも気付かないくらいに。
「そこ!黒羽!!騒がしい!さっさと席に着きなさい!」
いつの間にか教室に入ってきていた担任の怒声で我に返った。
「ゲッ……はーい……」
「俺は別に騒いでねーけどなー」
「黒羽!言い訳しない!」
席に着いてチケットを眺める。
来月の土曜の夜か……何着て行こう、どうしよう。
今回はどんなマジックを見せてもらえるんだろうか。
それからの授業なんて、全く頭に入ってこなかった。