Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第21章 緋色の煩悩【赤井秀一】
を問い詰めるべきか。
いや、できればそれは避けたい。
しかし何故……
しばらく思索に耽っていると……焦げ臭いニオイで我に返った。
フライパンを見れば、目玉焼きには完全に火が通っており、黄身も硬そうだし何より裏が真っ黒に焦げていた。卵を二つ無駄にしてしまった。
気を取り直してもう一度目玉焼きを作り直す。
しかしそろそろは起きていないとマズい時間じゃないのか。まだ寝ているのか。
出来上がった朝食をテーブルに並べ、再び二階の自室へ入ると、やはりはまだ寝ていた。ベッド際に近付き、声を掛ける。
「……おい、起きろ、」
僅かに目元が動く。が、起きる気配はない。
「」
まだ起きんのか。
「俺の部屋で気持ち良さそうに寝やがって」
肩を軽く揺すると、ようやく目が少し開く。
「お……おはようございます……」
「おはよう、寝心地はどうだ?」
「最高でした……ははは」
「そろそろ起きんと間に合わんぞ」
「うそ!え?」
「メシ、作ったから食べろ」
「はい!」
まともな会話をする間もなく、は朝食をあっという間に平らげ、身なりを整えて家を飛び出していった。
おかげで目玉焼きを失敗したことは知られずに済んだが。
昨夜のことを聞くタイミングすらなかった。