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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第21章 緋色の煩悩【赤井秀一】


空が白んで来た頃、工藤邸に帰宅した。

おそらく寝ているだろうを起こさぬよう、極力音を立てずに二階へ上がる。今夜は寒かった。早く温かいの隣で横になりたい。


彼女の部屋の扉を開けて中に入る……が、ベッドは空で……

静まり返った空間。背すじにまた違う寒気が走り、嫌な想像が脳内に広がる。

まさか、今も降谷くんと一緒なのか……?

頭を抱えながら扉を閉じ、とりあえず自室の扉を開く。と同時に、物凄くホッとしたんだが。

は俺の部屋のベッドで寝ていたのだ。

布団をたっぷり抱え込み、気の抜けた顔で眠っている……“すやすや”という表現がピッタリだ。


ようやく眠れる。上着を脱いで彼女の隣にそっと滑り込んだ。

……が、今度は布団に入って数秒、の髪から、いつもと違う香りがすることに気付く。

また広がる嫌な予感……

は昨夜どこか違う場所で風呂に入ったのか?
だとすると降谷くんが一緒だったのか。
それはつまり、彼と身体も重ねてきたのか。

それは、情報集合の為なのか……?
それとも……


仮眠など出来る気分では無くなってしまった。ベッドから這い出て、変装を剥がし、シャワーを浴びに一階へ下りた。

浴室に置かれたシャンプー類は、見覚えのある物ばかり。目新しい物は見当たらない。




シャワーを終えてもスッキリしないまま……もう一度沖矢の変装をし、朝食の準備に取り掛かった。


野菜を茹で、熱したフライパンに卵を割り入れる……

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