Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第20章 飛び越えた先に【松田陣平】
まあこの感じだと二人とも、終わりは近そうだ。事が終わってビールでも取りに来られたら厄介だ。
ゆっくり身体の向きを変え、音に細心の注意を払いながらリビングを出た。
玄関まで戻り、ふと目に留まった女物の靴には見覚えがある。やっぱこれはのモンだ……
「あぁっ!やっ、も、だめ……はぎ、あっ、あぁ、あっ」
「あー……イきそう……いい?」
「ああっ、あぁっ!ん、っ……あぁ、やっ、あ、あぁ」
「……あーもう……ムリ、出す」
「っあ!ぁああっ!!!」
二人の声が止み。向こうの様子は分からなくなった。
……さて。髪も服も酒クセーし、風呂に入りてぇ。
「ハギー!服濡れたから風呂借りっぞー!」
玄関の扉をわざと開閉してガチャガチャと鳴らし、今日一番のデカい声を出す。
数秒後ハギの間抜けな声で返事があり。
俺は必要以上に音を立てながら、浴室へ向かった。
扉を閉めてやっと大きく息を吐く。
未だに衰えない自分の下半身に嫌気が差す。俺は、あのに欲情したのか?いや違う、最初はだとは知らなかった訳だし。
身体が震える程冷たいシャワーを浴びれば、ようやく落ち着いた。
俺はどんな顔をしてアイツらに接すればいい。何も知らないフリをすべきか。
それにハギはともかく、だ、これからのことを、俺が今までと同じように見れるかも問題だ。
性別が女なのは勿論知ってたが……あいつマジで女だったのだ。
つーか、何かあったんなら、向こうから言ってくるだろ。普通。
シャワーを済ませて、置いてある服(ハギん家には何着か置いてある)を着てリビングに戻れば、いつもと変わらねぇ感じの二人。
「あ、陣平……おかえり!早かったね」
「なあ聞いてくれよ、あんのニャンって女……!」
安心?に近いものを感じながら、缶ビールを取りに行き、いつもの場所に座る。
そして女に酒を吹っ掛けられて何も出来ずに帰ってきたと話せば、二人はケラケラ笑って乾杯のポーズを取り出した。
「じゃ。今日は飲むか!」
「朝まで飲む!」
「いつものことだけど!」
そう、いつものこと……
チラリとを見やれば、泣いたのか、涙の乾いた跡が見えた。
心の中で盛大に溜め息を吐き、冷たいビールを喉へ一気に流し込んだ。