Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第19章 飛び越えてしまった【萩原研二】
おいで、って言われたのに、私の意思とは関係なく身体は宙に持ち上がり、部屋の隅に運ばれる。
ハギが引き戸を足で開けて、隣の部屋へ。そこは寝室だ。
また戸を閉めれば部屋は薄暗い。中央に置かれているベッドに身体を降ろされ、覆い被さってくるハギ……私の頭の中はまだ混乱してる。
「嫌なら、早く殴れ。でも嫌じゃねんなら……がトロットロになるまで、気持ちよーくしてやる……」
ビックリするくらい色っぽい声で耳元で囁かれ、耳の端にキスされて、ゾクゾクと何かが身体を走り抜ける……
信じられない……既に気持ちいい……?
もしかして、ハギとなら気持ち良くなれるのか。
だったら……
覚悟を決めて、ハギの顔を見上げる。
「誰にも言わないでよ?」
「言わない。俺らだけのヒミツ……」
ハギがそう頷きながら、人差し指を立ててその先を唇にちょん、と置いてきた。そのままフニフニと唇を弄られ……指が離れたと思ったらまたキスされてた。
上唇を挟むみたいに食まれて、次は下も。何度も小さな音を立ててキスを繰り返しながら、頬や耳も指でくすぐられて。フワフワしてきた。こんなの、初めてだ。
「いい顔……もその気になってきちゃった?」
「だって……ハギ、キス上手……」
「そりゃどーも……」
妖しく笑ったハギは、またキスを繰り返す。こいつ、もしやキス魔だったのか。さっきからキスばっかり……気持ちいいから、いいけど……
隙間から入り込んできた舌に、私の舌が捕まった。離れてもまた追いかけてきて、絡め取られる。
なんだろう……胸がいっぱいで、苦しくなってきた。身体も熱い。
ハギの背中に手を回し、抱きつこうとして、その大きさに少し驚く。いい身体してるのは知ってたけど、こんなに分厚かったのか。
ギュッと抱き付けば、ハギもギューっと私の身体を抱き返してくれて。嬉しい。
ゆっくりと唇が離れて、ようやくキスが止む。だけど不思議だ。さっきまであんなに、散々してたのに、まだもう少し、していたくて……ハギの唇を見つめる。
「なに。物欲しそうな顔して」
「……キス、気持ちよかった……もっと、したい……」
「あらあら……もっとしたい?」
「うん……」
「……素直でよろしい」
啄むように触れてくる唇が、本当に気持ちいい。絡まる舌は蕩けそうなくらい熱い。