Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第19章 飛び越えてしまった【萩原研二】
「約束忘れて女の子1時間も待たせるなんて陣平ちゃん酷すぎ。俺だったらあり得ない」
「私が相手だったらとっくに帰ってるって。けどいい子だね、1時間も待ってるなんて。しかも巨乳か」
「顔も中々だったぞ?陣平ちゃんさえいなかったらなー俺がいきたかった!」
「それ本気のやつ?」
「いや。おっぱい触ってヤりたいだけ。多分アイツもそう」
「ほんと年中元気だねーアンタら……」
「別にいいだろ?彼女もいねんだし」
私の幼なじみ二人は、まあ性に対して自由奔放だ。
そう言う私も……彼ら程では無いものの、割と自由に遊ぶ方なのかもしれない。
だけど、私の場合は少し違う、と言い訳させてもらいたい。
学生時代含め、今まで彼氏は何人かいた、性交渉に至った人数はそれ以上……だけど、私は誰とセックスしても全く気持ち良くなれないのだ。
(実は自分で触るのは結構気持ち良かったりするから、不感症ではないハズ)
だから、次こそは、この人こそは、ってとりあえず肌を合わせてみるんだけど、ことごとく全員ダメ。
一応相手の手前、気持ち良さそうな演技をしてはいるものの、やっぱりバレてるのかな、その後関係はひと月と続かない。
別れを告げられることもあったし、こちらからサヨナラすることもあった。
「ハギー?そんなにセックスって気持ちいい?」
「……どしたの、キモチイイに決まってんじゃん」
やっぱり普通はそうだよな。私がおかしいんだろう。
こんな話、陣平に聞かせたら絶対バカにして一生おちょくってきそうだけど、ハギならちゃんと聞いてくれそうだし。
今夜は久しぶりにそのハギと二人だ。
今まで誰にも言ったことの無かった“秘密”を打ち明けることにする……
「うーん……私イマイチって言うか全然なんだよね」
「はっ?今までいただろ?彼氏とか、アレとか、コレとか」
「誰とシても気持ちいいとは思えなかった」
「……それ、不感症ってヤツ?」
「違うと思う。自分で触るのは気持ちいいもん」
「わーお……ビックリ発言……」
「だからさ、ハギって女の子いっぱい知ってるでしょ?」
「そりゃー、まあ?」
「私みたいな子っていない?やっぱ私って異常?」
「んー?……うーん……」
黙り込んでしまったハギ。自称百戦錬磨のこの男をもってしても、この悩みは難題だったか。