Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第19章 飛び越えてしまった【萩原研二】
「おー!コレってあん時のだよな!」
「アレだろ?陣平ちゃんが派手にやっちまったヤツ」
「これヤバかったよね、懐かしー」
現在午後8時。ハギの自宅にて、ハギと陣平と私の三人で、何本目かの缶ビールを片手に昔の写真を引っ張り出してきて眺めている。
ハギの家はいつからか私達の溜まり場のような場所になっていて。しょっちゅうこの三人で集まっては、下らない話と酒でひたすら盛り上がり、寝るか酔い潰れるまで飲むっていうのがお決まりのパターン……
何故ハギの家なのか、理由は簡単。彼が一人暮らしで、一番広い部屋に住んでるからだ。
ちなみに今見てる写真は、高校の学校祭の時のもの。私達は三人とも同じクラスだった。
クラスの出し物の劇で使う小道具を当時陣平が作ってたんだけど、ちょっとした爆発っぽいものを起こす装置を作った筈が、なんと当日、ステージ上でその装置が大爆発。火災報知器が鳴り、消防と警察まで駆け付ける騒ぎになってしまったのだ。
「あん時はしこたま怒られたなー!しっかしあの担任の顔!大ウケだったぜー!」
「おいおい陣平ちゃん……俺とはケガしかけたんだぞ?」
「もうちょっとで大火傷!」
「だから!それは何回も謝っただろ……あーもう!悪かったって!」
写真の中、ステージの端で白煙が上がっており、その横に立ってるのは、若かりし私とハギ。この劇の主役を二人でやってたんだった。(ちなみに刑事モノのサスペンス劇)
大爆発の後もアドリブで演技を続行するハギに参ったのも覚えてる。彼に合わせて私もなんとか続けたけど、その後すぐに担任に無理矢理中断させられたんだったか。
「まー今となっちゃ笑い話だわな……」
「だね」「ああ」
その後も高校時代の写真を見続けることしばらく……
陣平のスマホが鳴り出した。着信のよう。
「……あ?ニャンって誰だ……?」
「んー?あの子じゃね?この前の飲み会で陣平ちゃんのことすっげぇ気に入ってた巨乳の」
「おわ!やっべ!俺今日ソイツと飲む約束だった気がしてきた……今何時だ?」
「8時すぎ?」
「……もう1時間も過ぎてっ……とりあえず行ってくるわ」
バタバタと陣平は荷物をまとめて、タバコを咥えたまま出ていった。