Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第2章 お巡りさんの恋愛事情【松田陣平】
酔いが回ってくると、大概いつも話の内容はくだらない下世話なものになってくる。
女のカラダは何歳位がどうだとか、松田の持論を聞かされていた。
「あーでもこのままだと私は熟す前に枯れるわ・・・」
「3年ヤらなかったら処女に戻るとか言うよな」
「え!・・・私戻ってる、かも」
最後にしたのは・・・いつだったか。
「マジで・・・そんなにしてねぇの?」
「うるさい!ずっと彼氏いないの知ってるでしょ」
「知ってる。けど・・・気の毒な・・・」
「気の毒で結構」
もういい。ムシャクシャしてきた。
残っていた酒を全て喉に流し込む。
「待て!一気に飲むなって!お前強くねーんだから」
「いいの!おかわりーっ」
明日は休みだから大丈夫。
松田なら私の家も知ってるし、もし潰れかけてもコイツが送ってくれるだろうから心配ない。
久しぶりに浴びるように酒を飲み、酔った。
「そんな飲み方してたら男できねぇぞ」
「いい!もう一生男なんてできなくてもいい!」
「あのなー・・・つまんねぇだろ、そんなん」
「そーだよつまんないよ!・・・たまには誰かに優しくされたいよー・・・」
「怒ったり泣いたり忙しいヤツだな、おい」
「泣いてないー・・・でも泣きたい位かも」
「・・・俺が優しく抱いてやろーか?」
「松田が?冗談ー」
「いや?・・・結構本気」
いつもの軽口だと思ってたのに、急に松田の声のトーンが落ちて。
横から顔を覗き込まれる。
酔っ払いすぎて聞き間違えたか。
「なに言ってんの・・・」
「抱いてやろーかって言ってんの」
耳元でボソッと呟かれた。
さっきまでのふざけたテンションは何処へやら、まるで別人のような顔付きの松田に至近距離で見つめられる。
そんな色っぽい顔・・・見たくない。
一瞬ドキッとしてしまったなんてことは、即座に忘れたい。
けど・・・本能が隣の人間を“異性”だと意識し始めている。
「ホテルはちょっと距離あるしなー、ウチ来る?お前んちがいい?」
勝手に話を進めないでほしい。
「帰る・・・」
「じゃ俺も行く」
松田に腕を引かれて店を出る。大した抵抗もせずそれに従う。
酔っ払ってるせいか。
風邪でもひいたかと思うくらい顔が熱い。
心臓も凄い速さで脈打っている。
どうして急にこうなった。