Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第2章 お巡りさんの恋愛事情【松田陣平】
「まーたダメだった・・・」
「そりゃ残念だったな」
学生時代に付き合っていた彼氏と数年前に別れたっきり、それからずーっと私には彼氏がいない。
昨日は久しぶりに飲み会(いわゆる合コン)だったんだが、昨日に限らず毎回そう、
“警察官だ”って言うと、大概の男性に引かれてしまってその後に全く繋がらなくて。
高校時代の同級生はチラホラ結婚しだした。
このままいったら、私ずっとひとりかもしれない、なんて不安が最近頭を過り始めている・・・でも警察を辞める気はない。
そんな内容の愚痴を、警察学校の同期である松田陣平にこぼしながら、近所の居酒屋のカウンターで項垂れている。
私は警視庁勤務とはいえ生活安全部、比較的のんびりした部署で、
松田は警備部、しかも機動隊爆発物処理班なんていう超物騒な部署に配属されている。
職務内容にはかなり差があるけど・・・何でも話せる友人だ。
家も近いし、たまにこうやって二人だけでも飲みに出る。
「お前顔は悪くねーのにな」
「そう?でも見た目で寄ってくる男も嫌だわ」
「いや、見た目って大事よ?第一印象」
「でも松田だって割と男前だと思うけど、ずっと彼女いないよね」
「俺はいーの。遊んでくれる子ならいっぱいいるしな」
そう言いながら松田は携帯を何やら操作している。
電話帳に“遊んでくれる子”のフォルダとか作ってそうだな。
彼は、まあ腹が立つほど女にモテる。
顔も悪くない、体つきも良い。
今だって、タバコを片手に酒を煽る仕草は男臭くてセクシーだと言える。
しかし、彼は自他共に認める遊び人だ。
「あんたサイテーだよ、ほんと」
「俺達いつ死んでもおかしくねぇ仕事してんだぞ?やりたい時にやる、これに尽きるわ」
「明日死ぬかもしれないんだったらねー・・・たしかに」
「もたまには遊べば?」
「松田と一緒にしないでよ・・・遊んでばっかだとそのうち刺されるよ」
「その辺は上手くやってるから心配ない」
そりゃあ、私だってセックスしたくない訳ではない。
でももう、そういう異性との関係の作り方は、とうに忘れてしまった。