Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第18章 朧月を見上げて【白馬探】
「全く……ワトソンはを余程気に入ったみたいだね」
「かなー?私動物には結構好かれるみたいで」
「動物だけじゃないと思うけど……僕もが好きだし」
「っえ……あ、ありがとう……」
……可愛い。今の“好き”は彼女の反応を見たくて、どうとでも取れるような言い方をしたんだけど。そのは頬を赤くして俯いてしまった。
家に来てくれた時点である程度期待はしていたけど……念の為もうひと押し欲しい。
「わ、私も……」
「……うん?」
「私も、白馬くん、好きだよ……?」
顔を上げた彼女が発した小さな声に自分の耳を疑った。まさかそう来るとは。
「昨日……私が“内緒”にしてた話、してもいい?」
「ああ。聞きたいな」
モジモジしながら彼女が喋り出す。
今すぐ抱き締めたい……けど、抑えてここは話を聞くことに徹する。
「私ね、昨日家のテレビで怪盗キッドのやつ、見ててね……」
「……?、家にいたのか?」
「実はそうなの。でもそしたらね、白馬くんがテレビに映って!で、博物館に行けば会えるかもって、飛び出してきた、んだよね……」
「……そうか」
「そしたらワトソンに会って」
「ワトソンについていったら、僕がいた、と」
「うん……」
「僕に会いたくて家を出てきたのか?」
「そう……昨日は恥ずかしくて言えなかった……だから内緒だったの」
「そんなに会いたかった?」
「……会いたかったよ、毎日思ってた」
「……僕もだ」
……ややこしい駆け引きなんて、必要ないのか。
の肩に腕を回して抱き寄せれば、彼女は一瞬身を硬くしたものの、素直に僕に身体を預けてきた。両腕でしっかり抱き締めて……いい香りのする髪に唇を付ける。
「……」
「んー……ちょっと……苦しい……」
「ごめんごめん……」
少し強く抱き過ぎたようだ。腕の力を緩めての目尻にキスをする。目が合って、次は唇に……
と思いきや、ワトソンが激しく羽音を立て、短く鳴いた。わざとか?
「ワトソン、静かにしてくれ……いや、、僕達が別の部屋に行こうか」
身体を繋げるにはまだ早すぎるだろうか。でも、時間がない。今夜を逃せば、次はいつになるか……次なんてあるのかも、分からない。