Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第18章 朧月を見上げて【白馬探】
見た目も味もエクセレント!な料理を楽しみながら、白馬くんに勧められるままワインを飲む。ワインなんて普段滅多に飲まないけど、こういう料理にはやっぱり合うんだと思う。すごく美味しい。
だけど彼の飲むペースが、めちゃくちゃ速い……!
「白馬くんお酒強いんだね」
「そうかな?まあ、ロンドンは高校生でも軽いお酒はOKだし、日本の同世代よりは慣れてるのかもしれないね」
ちなみにロンドンでは、18歳から全てのお酒が解禁で、加えて信じられないことに家で飲むだけなら5歳からOKなんだ、と彼は言う。
「5歳!?それ大丈夫なの?」
「保護者の監督下ならOKって話だから、そこは保護者の判断次第だけど」
「だよね、いくらなんでもガブガブは飲ませないよね……」
今夜はお酒の力もあってか緊張もかなり緩んで、すっごく楽しい。心が踊りっぱなしだ。やっぱり、夢かもしれない。
最後に、と頼んだデザートと紅茶も、めちゃくちゃ美味しくて。
「なんか白馬くんといると色んな話聞けて楽しいー」
「それは僕もだ。また日本に来たらに会いたいよ」
でも“また日本に来たら”、それを聞いて、嬉しいような悲しいような気分になる。また会えたら嬉しいけど、彼はすごくすごく遠い所に住んでるんだった。
「明日帰っちゃうんだよね……」
「もしかして寂しい……って思ってくれてる?」
「……思ってる」
「は明日も休み?予定はある?」
「休みだけど特に何にもないかな」
「それなら……もう少し一緒にいようか」
「いいの?」
「逆にいいのか?」
「……うん」
彼の“もう少し一緒にいよう”の真意は分かりかねるけど……“もしかして”を想像したら落ち着かなくなってきた。酔う程の量は飲んでない筈なのに、酔ったみたいに身体が熱っぽい。
それに、こっちを見てくる白馬くんの視線が……なんだかこれまでと違う気がする。
「どこか行きたい所はある?」
「うーん……」
「じゃあワトソンに会いに来るか?ワトソンものことは気に入ってるみたいだし、喜ぶと思う」
「ほんと?行くー!」
“もしかして”への期待も不安もある。けど、もうどこでどうなったっていい。
まだ一緒にいたいし、今夜を逃したら次は一体いつになるのか、もしくは、次なんて無いかもしれないし……