Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第18章 朧月を見上げて【白馬探】
さんと別れ、来た道を歩いて戻る。空には小さな朧月……月を見ると、条件反射的に宿敵である男の姿が脳裏に浮かぶ。
怪盗キッド……今回僕が日本に来たのも、奴をこの手で捕まえる為。奴が狙いそうな宝石が来週から東京で展示されると聞き、飛んできた。
今日は夕方頃から展示会場付近の下見をしていた。もしかしたら奴も下見に来ているかもしれないし。
残念ながら先程は気配は感じられなかったけど……今もワトソンが見張っている。僕がいない間に何か収穫はあっただろうか。
昼間、さんが盗撮されている事に気が付いたのは本当に偶然だった。綺麗な後ろ姿の女性に自然と目がいくのは男だし当然だとして……しかし、その女性の後ろに不審な動きをする奴を見つけてしまったのだ。
ワトソンを飛ばして男を抑え、女性に声を掛ければ、振り返った彼女は思いの外若くて美人で……一瞬時間が止まったように感じた。咄嗟に自分の名刺を渡した。
きっと連絡なんて来やしないと思っていた。
それがなんと数時間後に連絡が来た。怒りながらだったけど。
力になれるなら、と直ぐに彼女の元に駆けつけた。勿論、お近づきになりたい下心があったのも事実。
結果僕は役に立てたと思うし、さんも僕の事を良く思ってくれてるんじゃないか、って感触もあった。
それに……ついさっきまで怒っていた彼女が、自分のおかげでニコニコ笑っていることに心地よい満足感を得たと同時に、さんの笑顔に僕は完全にやられたんだと思う。笑うと幼く見えて、可愛くて……
そのまま食事に誘うならベストな時間ではあった、けど……今日は何かとタイミングが悪すぎる。彼女は酷い目に遭ったばかりだし、なんと言っても僕にはキッドの件もある……
ロンドンへ帰る前にもう一度会えたら……しかしいきなり電話を掛けて誘っても、いいものなのか。でも次いつ日本に来れるかなんて……分からないし。
しかしさん、後ろ姿も、顔こそ綺麗だったけど……お尻も最高だった。綺麗な丸みを帯びた二つの膨らみに、スッと伸びた柔らかそうな腿、まさに理想的なライン。ただの写真であると分かっていても、触れたくなってしまった。
きっとすごく柔らかいんだろう。
……善からぬ想像を振り払って、ワトソンと合流した。