Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第17章 ふたりの蜜月*後編【赤井秀一】
子供のことを必要以上に意識してしまってるのか、ずっと胸騒ぎが収まらない。
額に、目蓋に、頬に、もちろん唇にも、沢山キスを落とされて……次は耳のようだ。優しく噛まれたり舌を這わされる度にやたらハッキリと音が聞こえる……身体から力が抜けて、もうそれだけで物凄く気持ちがいい……
だけど、もっと滅茶苦茶に抱かれるんじゃないか、なんてさっき一瞬思ったもんだから、こんな風に優しく触れられて、少し拍子抜けしてるのも確か。
「……暗く、なってきたな」
「ですね……」
気付けば夕陽が沈み切るところで。辺りは嘘みたいに暗くなる。
「明かりを……付けるか」
「やっ……このまま、居て……」
電気を付けようと起き上がろうとする彼の背中を抱き締める。別に部屋が真っ暗になった訳じゃないし。それよりも、今は秀一さんと離れたくなかった。
「……そうだな」
「うん……」
隙間も無いくらい、ピッタリと肌を重ねると、耳のすぐ横から規則的な吐息が聞こえてくる。
少し重くても、とっても心地好い。
重なる彼の肌はいつもより熱い気がする。すごく安心する、大好きな感触……
「秀一さん……」
「どうした」
「す、き……」
「ああ……そうでないと困るな」
少し身体を起こした秀一さんに首すじを食まれる。舌を這わされ耳の裏までたっぷりと舐められ、ゾクゾクと神経が騒ぎ出す。
「今日はやたら甘い匂いがするな……」
「んっ……ぁ……っ」
浴室に備え付けられていたボディソープの香りか。ココナッツのような、蜂蜜のような、甘ったるい香り。
あ、夕食の締めに、もっちりした甘いデザートも食べたっけ……
身体を小さく震わせながら、うっすらそんな事を考えていた。
「……」
突然ボソッと吐息の混じる低い声で名前を呟かれた。それだけなのに背筋から腰の辺りがゾワっとして……
そこからはほぼ無意識だ。首を捻って、自分から秀一さんに口付けた。舌を差し入れればすぐに絡め取られ、軽く吸われながら裏側を舌でなぞられる。身体の中から火照ったように熱くなってきた。
こうなると、もう、止まらない……深いキスを続けながら、秀一さんの背中に手を這わせて、身体を捩る。