Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第15章 歪な感情……憩の場所【ジン】
二人は昨日と同じスーパーに寄り、の自宅に帰って来た。
美容室から自宅まで、辿ってきた道程は昨日と同じだが、二人の間に流れる空気は、確実に変わった。
ジンの顔色に大きな変化は見られ無いものの、視線がへと向いている時間が断然増えた。
もで、重い買い物袋を自ら軽々と持つジンを嬉しそうな顔で見上げ……そして目が合えば照れ臭そうに斜め下を向いたり。
出来上がった料理を食べ終わり。食器をが洗い出し、ジンは煙草に火を点ける。
洗い物を終えたは、窓際に居るジンの横にちょこんと座った。
「寒くないのか」
「ちょっと寒いけど大丈夫」
ジンの大きな身体が動く。の身体を抱き寄せるように肩に腕を回したのだ。
暫くして彼は煙草の火を消すと、更に強くを自分の元へ引き寄せた。
「わっ……温かい」
「お前もな……」
身体を寄せながら、ジンはの綺麗な髪を撫でる。職業柄か持って産まれたものなのか、滑らかで柔らかそうな髪を、ジンはとても大事そうに扱う。
いいぐらい髪を撫でた所で彼は徐に窓を閉め、の後頭部を掴み顔を自分の方へ向かせた。
互いに見つめ合ったまま視線を逸らさない二人の間に、色濃い空気が漂い出す。
「は俺の女になったんだ……今更駄目とは言わせねえ……そうだな?」
「……うん……あの、ジン……私、知りたい……もっと、ジンのこと……」
彼の思惑を分かってか若干身を固くするに、構わずジンは距離を詰める。二人の顔と顔の間の距離はもうほぼ無い。鼻先が触れそうなくらいだ。
程なくして唇同士が触れる。何度か角度を変えてはまた重なり……口付けは次第に深く濃くなっていく……