Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第15章 歪な感情……憩の場所【ジン】
辺りが暗くなるにつれ、そこかしこでライトが点灯し出し……その内すっかり夜になり。
仕事を終えたが店を閉める。その近くには今夜もジンの姿があった。
「」
「ジン……?ど、うして?」
「お前の様子が知りたくなった。メシも食いたい」
「ちょ……っと」
まるで昨夜のデジャブだ。ジンがの腕を掴み、自分の車の助手席へ乗せると、ジンも運転席に乗り込んだ。
「考えたか」
「……昨日のこと、だよね?」
「そうだ」
「……今言わないとダメ?」
「早い方がいい」
「うん……」
静かな車内、がゆっくりと言葉を発していくのを、ジンは彼女の方を見据えながら聞いていた。
「私、ジンのことは嫌いじゃない。お付き合いを断る理由も、ない……」
「……それが答えか」
「うーん……」
「嫌なのか」
「だって……ジンが、私を好きだとは思えないんだけど……」
「俺にもそれは分からない。だがのことを他のどの女よりも気に入っているのは間違いない。それに昨日も今日ものことばかり考えている、これは“好き”とは違うのか」
「ぅ……ごはん食べたいだけじゃなくて?」
「メシもだが……の全てを俺のモノにしたい」
はジンの方を向いたまま、目を見開いて固まる。これはもう、立派な愛の告白じゃないのか。ただ、ジンには理解できていないのだろうけど。
「どうなんだ、」
「……うん……うん、わかった」
「了承した、ということだな?」
「うん……」
「いい決断だ……」
小さく頷いたの顎を、ジンの手が掬う。そのまま二人の間の距離は一気に縮まり、唇が短く重なった。
暗がりでも分かる程にみるみる紅潮していくの頬をひと撫でしたジンは、スっと前方を向き直り車を走らせ始めた。
独特のエンジン音を響かせる黒塗りの車が、昨日と同じ方へ向かい、消えていく。