Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第13章 好きだと言うのは難しい【服部平次】
布団の中と外、暗がりの中で向かい合って小声で喋る。
「珍しいな、平次が眠れへんなんて」
「がこの部屋に居ると思うと……寝るに寝れへんのや」
「……そうなん?」
「せやからな、そっち行ってもええか?」
「うん……ん!?」
つい流れで“うん”って応えてしもて、慌てて訂正しようと思たのに平次は布団を捲って中に入ってくる!
「ちょ、平次!?」
「温いなー。こりゃよう寝れそうやで」
「えっ、あの……えぇっ!?」
布団から出ようにもガッツリ身体に腕を回されてもうて……身動きが取れへん。
「あんまりデカい声出すなや?オカンが起きたら厄介や」
「そーいう問題ちゃう」
「俺……のことが好き過ぎてもう爆発してまいそうなんや」
「な、なんやのそれぇ……」
アタシの心臓かて爆発しそうや。さっきから物凄い音を立ててバクバク動いてる。
「分かるやろ?好きな女が同じ屋根の下に寝てんのや……男なら誰やって考えてしまうわな……」
……まさかアレのことか?大人の男と女が夜にすること……?でもソレってもっと大人の世界の話やないん?アタシらまだ高校生や。
「へ、いじ……?」
「俺は……今にめちゃくちゃ触りたい、の全部を知りとうてもうかなわんのや。全部、俺のモンにしたい……は嫌か?」
「嫌っていうか……アタシ何も分からへん……」
「女は最初は何も分かってない方が可愛いもんや」
「そ、そうなん……?」
「せや……嫌とちゃうんやな?同意とみなすぞ」
「っ……待ってや!まだ」
「待たへん。騒がんと俺に任せとき」
顎をくいっと掬われて次の瞬間にはまた平次と唇が触れてて……さっきよりも格段に長く合わさったまま、離れへん。
やっと離れたと思って思いっきり息を吸い込んだらまた塞がれて……アカン、こんなの繰り返してたらいつか死んでまう。
「っん!んー!」
「なんや、騒ぐな言うたやろ」
「せやけど息出来ひん……」
「……鼻があるやろ、鼻が」
「そ、そか……っ!」
なんとか呼吸は出来るようになったけど、それどころじゃなくて上手くいかへん。
唇の端っこにも、真ん中にも、鼻の頭にまで、あちこちキスされて……
だんだん頭がポーっとして、身体に力が入らへんようになってくる。