Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第1章 月夜に現れた紳士は【キッド/快斗】
頬に手を添えられて、物凄く近くから真っ直ぐ見つめられる。
黒羽くんって・・・こんなに綺麗な目してたのか。
吸い込まれてしまいそうで・・・目が逸らせない。
本気で逃げようと思えば逃げられるのに、身体は動かない。
フッと彼の顔付きが黒羽くんに変わった。
「もうちゃんは、俺のもんなの。初めて会った日から決めてた。学校で会ったときはマジでビックリしたけどよ」
「そんな、勝手に決めないでよ・・・」
「怪盗は人の心を奪うのも得意だからな。現にちゃんは、俺に会いたくて堪らなかったんだろー?」
「そう、だけど・・・すごい、偶然だよね」
「すげーよな。運命かもしれねーぞ?」
「まさかぁ・・・」
「・・・そういうこと言わないの」
また唇が重なって。
柔らかい感触を楽しむように、何度も角度を変えては合わせる。
すごくドキドキしてるのは、キッドに対してなのか、黒羽くんに対してなのか。両方?
でも高校生だとか、キッドだとか、そういうことを一度取っ払って、彼のキスを受け入れてみると、
・・・すっごく好きな仕方かもしれない。
これ以上先に進んだら、多分戻れない。
躊躇う気持ちは、もちろんある。
でも・・・唇が離れる度に、ついその後を追いかけてしまう。
「生徒と先生でも、当人同士が良ければいいって、ちゃん言ってたよなー」
「それは・・・」
身体が宙に浮いて、ベッドに座らされる。
すぐ隣に腰掛ける彼。
互いのおでこと鼻先をくっつけて、彼が喋り出す。
「唇は相性良さそうだよなー。こっちはどうかな」
頬を撫でてきた指が、首筋から鎖骨をなぞっていく。
手袋をしたままの指先は、なんだかくすぐったい。
「どうって・・・」
「ん?そりゃー・・・わかるだろ?」
彼はモノクルを外し、それをテーブルに置くと、ゆっくりと私の身体をベッドに倒そうとする。
キャンドルの灯りに片側だけ照らされた彼の顔は・・・すごく男っぽくて、目眩がしそうになる。
身体からみるみる力が抜けて、ベッドに横たわる。
「そんな蕩けた目ぇして・・・」
「黒羽くん・・・」
「かーわいい・・・ちゃん」
唇が重なって、熱い舌が差し込まれる。
どうしよう・・・すごく気持ちいい。
目を閉じて、舌を絡ませる・・・