Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第12章 助けて!お巡りさん!【諸伏景光】
「わー!なんか男の人の部屋って感じですね!」
「まあ、俺、男だし・・・あ!ごめん!俺ん家、女の子の必要なものとか何もないんだった・・・」
「あーメイク落としとか?そりゃ無いですよね・・・」
「欲しいよな?」
「・・・あった方がいい、ですけど」
「買ってくる。外寒いしは待ってて」
彼女を部屋のソファに座らせテレビを付け、一人再び外へ出た。
コンビニに駆け込み、“お泊まりセット”と書かれた、何やら色々が一式になってるものを買う。
女の子って、毎日大変だよなー・・・
急いで自宅へ戻り、玄関の扉を開ける。
が、家に入った瞬間、どうも女性の艶かしい声にしか聞こえない音がした。身体が固まる。
まさかの声か?・・・いや・・・嘘だろ。
靴を脱ぎ、抜き足差し足で部屋の方へ向かう。(自宅でコソコソしてる俺は、酷く滑稽だと思う)
「あぁっ・・・」と、また高い声が漏れ聞こえてきた。
俺は一体どんな顔して部屋に入ればいい・・・?ちょっと脳が正常に働かない。
部屋に通ずる扉をそっと開け中を覗くと、こちらに背を向けソファに座るの後頭部がちょこんと見える。
そして彼女の前方にあるテレビ・・・その画面では裸の男女が絡んでいる。
・・・なんだ、テレビね。映画かドラマの濡れ場か。
安堵なのか残念なのか分からない息をひとつ吐き・・・肩を落とし胸を撫で下ろす。
音を立てぬよう、の背後に近付く。彼女は俺が帰ってきたことにはおそらく気付いてない。そのまま真後ろから声を掛ける。
「ただいま。」
「きゃっ!!!えっ!・・・お、おかえりなさい・・・」
彼女の身体がビクッと跳ね、目を見開いてこちらを振り返った。その頬は一瞬にして赤く染まっていく・・・あー・・・これは可愛い。
「なにひとりで楽しそうなの見てるの」
「これ・・・見たかった映画、やってたから・・・」
「ふーん?」
ソファの背もたれを乗り越え、の隣に座る。未だ画面の中では女性が色っぽい声を上げている。
「こんな顔赤くして・・・興奮してた?」
「・・・っ」
彼女の頬に触れればそこは明らかに熱を帯びていて。恥ずかしそうにこちらを見上げてくる瞳に・・・抑えていたものが全て外れた。