Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第10章 助けて!お巡りさん!【降谷零】
普段ならこんなものに心を惑わされる事は無いのに。
今日はテレビの中の女性の息遣いがやたら妖艶に聞こえてくる・・・落ち着け、降谷零・・・
チラリと隣の彼女を見てみれば・・・彼女は口元を両手で覆っている。ブカブカの袖口から小さな指先だけが出ているのがなんとも可愛いらしい・・・
「なんか・・・ドキドキしちゃいますよね、こーいうの」
「・・・そうか?」
心の内を悟られないよう冷静を装う。
「そうですよー・・・こんな風にされてみたーい・・・」
「へえ・・・」
・・・さんは信じられない事を言い出す。こっちの気持ちも少しは考えて欲しい。
そのうちベッドシーンも終わり、映画も終盤、クライマックスを迎え・・・終わった。我ながら良く耐えたと思う。
寝るにも良い時間か。
「そろそろ寝ようか・・・?さんはベッド使って」
「えっ悪いです!ソファで大丈夫!」
「駄目だ。布団はあれしかないし、さんに風邪引かせる訳にはいかない」
寝室へさんを案内し、彼女をベッドに入らせ、布団を掛けてやる。
「おやすみ 。さん」
「降谷さんはどうするの?」
「僕はソファで寝る」
「そしたら降谷さんが風邪引いちゃう・・・」
でもそうする以外に彼女の貞操を守る方法は無いのだ。一緒の布団でなんて寝たらさすがに僕でも・・・その先を抑える自信は・・・
「僕は風邪引かないし大丈夫だから・・・」と彼女に背を向けて寝室を出ようとした。
「降谷さんもこっちで一緒に寝ましょう?」
さんが僕の服の裾を掴んで言った・・・嘘だろ。
それは、僕を誘っているのか?
それとも、僕は信用されているのか?
断らなければいけないと思っているのに、心の底で考えていることは全く違って・・・俗に言う悪魔の囁きが頭から離れない・・・
「一緒に寝るって、さん・・・分かってる?どうなってもいいのか?」
「・・・降谷さんとなら、いいと思ったから、降谷さんにお願いしたんですよ?私だって男の人の家に泊まったらどうなるか位分かってます・・・」
彼女が僕の服を更に強く掴んでくる。
必死に積み上げてきた理性の壁が、音を立てて崩れていく。