Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第10章 助けて!お巡りさん!【降谷零】
そのうち、さんの風呂が済んだような物音が聞こえてきた。
「お風呂ありがとうございました!」
僕のブカブカのスウェットを着た彼女がリビングに戻ってきた。頬は、ツルツルしててほんのりピンク色で柔らかそうだ。髪は濡れたままで妙に色っぽい・・・
元々さんの容姿を可愛いと思ってはいたけれど・・・(だから尚更、松田やヒロには任せられないと思ったんだが)これは目の毒だ、可愛すぎる。
「僕が風呂入ってる間にドライヤー使って。洗面所に出しておく。冷蔵庫の中のもの、好きに飲めばいいからな」
わざと彼女を直視しないよう横を通り過ぎながらそう言い放って浴室へ向かう。
「あのっ、降谷さん!」
「どうした?」
「・・・下着をどこに干したらいいか分からなくてとりあえず脱衣場に引っ掛けてきたんですけど・・・」
「それでいいよ、なるべく見ないようにする」
モジモジしながらそんな事を言われて、一度抑えた欲望がまたフツフツと湧き上がってくる・・・でもそれは振り切って再度浴室へ向かった。
彼女の手前“見ないようにする”とは言ったけど、つい見てしまうのが人間のサガか・・・
それよりも・・・さんの下着がここにあるってことは、彼女は今スウェットの下は素っ裸なのか?・・・そうだよな。
自分が情けない・・・これじゃ松田やヒロと同じだ。今の僕はさんを完全に“女性”として見ている。抑えなければ。
無心で風呂に入った。
風呂から出ると、さんはソファに膝を抱えて座り、テレビを見ていた。何かの映画のようだ。
一応、ある程度距離を取って僕もソファに腰掛けた。
「何見てるんだ?」
「あれですよ!一回見たかったんですよねー」
「ああ、あれか」
昨年よく名前を聞いたアメリカ映画だった。僕もまだ見た事はない。時間的には中盤頃だろうか。
熱心に画面に見入っているさんはなんだか微笑ましい。僕も隣で残りを一緒に鑑賞しようと思う。
しかし、十数分後、僕は後悔する事になる・・・
画面の中の主演俳優と女優がキスし出したのだ。徐々にそれは濃厚なものへと変わり・・・服を脱がし合い・・・マズいと感じた次の瞬間には彼らはベッドになだれ込んでいて・・・所謂“濡れ場”の展開だ。