Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第10章 助けて!お巡りさん!【降谷零】
頭がパニックを起こしかけたのは降谷もまた同じだった。
・・・松田やヒロからさんの身を守る為に僕が連れ帰ったのに。僕は断じて彼女に手を出すつもりは無いのに。
さんが風呂へ入ったのを確認して、洗濯機を回しに来てみれば、綺麗に畳まれた洋服が置いてあり。
それらを一枚ずつネットに入れていたら、当然なのだが彼女の下着も出てきた。
迂闊だった。不意に彼女の下着姿を想像してしまい。一人で動揺し、苦笑いしていた。
すると浴室の扉が勢いよく開いた。
当然、そこには何も身につけていない姿の彼女がいて。
すぐに扉は閉まったが、彼女の裸体は強烈に脳裏に焼き付いたままだ。
実は下着を見た時にも一度この考えは過ぎっていた・・・手脚は細い割に彼女、胸はそこそこあるのだ。
路肩で抱き締めた時は、華奢な身体だなと思ったんだけど。(抱き締めたのも、裸を見てしまったのも、不可抗力だ)
実物は綺麗な丸い曲線を描いていて・・・
・・・これ以上は考えてはダメだ。崩壊寸前の理性をなんとか保ち、彼女に声を掛けた。
「さん!ごめん!・・・何か忘れ物でもしたのか?」
「した・・・じ・・・あ・・・って」
「何だって?聞こえなかった」
「あの!下着は!お風呂場で洗うので!取りに行ってもいいですか!」
「ああ・・・、男の僕に洗われるのは恥ずかしいよな。ごめん、気付かなかった」
平静を装い、彼女の下着を再度手にして扉に近付く。
「扉、少しだけ開けてもらってもいいか?下着、渡すよ」
「えっ・・・はい・・・」
扉が数センチ開く。そこから下着を差し入れると、すぐにそれは受け取られ。手を引っ込めればまた扉は閉まる。
「ありがとう、ございました」
「うん。邪魔して悪かったな、ゆっくり入って」
「はい」
この薄い扉を一枚隔てた向こうには裸の彼女がいる。
いくら考えないようにしても、どうしても頭に浮かんできてしまう。
気付けば自分の身体の中心は熱を持っており、勝手に頭をもたげ始めてるんだから本当に参る・・・
とりあえず洗濯機を回し、リビングに戻って。
スマホで指名手配犯の手配書を検索する。奴らの顔写真を一枚ずつ凝視して、なんとか理性を取り戻す事に成功した。
彼女を守る立場の僕が、こんなことではいけない。