Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第1章 月夜に現れた紳士は【キッド/快斗】
翌日。
一人で住むマンションに戻り、荷物を片付ける。
夜になり、松田先生との食事のため、家を出ようとしたら、部屋の郵便受けに白い紙が入っているのが見えて。
手に取ると、カードに文字が印刷されている。
今夜10時、先日のお礼に参ります。
ベランダに降りる所を
人に見られるといけないので、
部屋の明かりを消して、お待ちください。
文章の最後に、見覚えのある帽子にモノクルを着けた人の顔の・・・キッドマーク。
鼓動が早くなってきた。
胸に手を当て、息を大きく吸い込み、吐き出す。
カードをカバンにしまって、部屋を出た。
先生と待ち合わせをした場所に着いても、一緒に食事をしていても、ずっと心臓はドキドキしてて、心ここに在らず、で。
「、緊張してるのか?」なんて言われてしまい。
「そりゃ先生と外で会うんですから、緊張くらいしますよー」と返したが、こんなに緊張してるのは先生のせいではない。
でも食事を終えた帰り際、妙な空気が流れ出した。
「次会うときは、もう先生と生徒じゃないからな」
「教師の先輩と後輩ですかねー」
「それもそうだが。俺はとは大人の男と女として会いたいと思ってるけどな」
「何言ってるんですかー?今だって大人ですよ」
「じゃ、この後もう1軒いくか?」
「あー・・・すみません、ちょっとこの後約束が、あって」
時計は8時半を過ぎたところだった。
「こんな時間から?、男いたのか?」
「いえ、でも・・・男性と会うのは確かです」
「へー残念。は俺に気があるのかと思ってた」
「え?あの、松田先生って素敵だとは思ってますよ、でも」
「まあ、その先は言わんでいい。傷つきたくない」
「すみません・・・」
「謝られても傷つくんだけど。ま、彼氏じゃないんだろ?気が変わったらいつでも来いよ。暫くは待ってるつもりだから」
先生は私に気があるということか?そんなの予想の外の外すぎる。
でも申し訳ないけど今はそれ所ではない。
キッドが再びやってくる、それだけで今は頭がいっぱいで。
先生と別れて、ソワソワ急ぎ足で帰宅する。