Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第8章 光の交わるところ【諸伏景光】
そのうち話は本題の“悩み事”になり。“黒田には絶対に内緒で”と念入りに前置きをして、黒田に拾われた時から今までの事を正直に話した。
「なるほどね、分かった」
「すみません・・・オーナーの知り合いの方にこんな話・・・」
「いい。ひとつ確認するけど・・・ヒカリさんは、もう黒田と決裂しても全く構わないんだな?」
「できるものなら、ですけど・・・」
「それなら・・・君に大事な話をしたい」
「はい・・・?」
「絶対驚くと思うけど、声は抑えろよ」
何の話だろう。近くに人が居ないことを再度確認して、手を口元にあてて深く頷く。
「まず・・・君に謝りたいことがある。俺は、君が店を辞めたがってるのを、知ってた」
「・・・オーナーから聞いてたの?」
「そうだ。それで俺は、君といい関係になって、君を黒田の元に繋ぎ止めるよう命令されてた」
「うそ・・・」
・・・なるほど。それなら彼が初めて店に来た日の黒田の行動も、ヒカルさんがすごい頻度で店に来てくれたことの説明もつく。
つくと同時に、物凄く寂しい気持ちになるんだけど・・・
少しでも彼が私に好意を持ってくれてるように見えてたのは、全部その為だったのか。
「ごめんな、でも、俺は君を騙したかった訳じゃない・・・」
「・・・ヒカルさん、いい人だと思ってたけどそれも嘘なの?」
「うんまあ、それなんだけど・・・俺はヒカルじゃないんだ、、落ち着いて聞いて」
「っえ?今、私の、名前、知ってました、っけ?」
「昔から知ってる。俺は景光だから」
「うそっ!なんで!」
「声!・・・抑えろ」
「あ、ごめんなさい・・・」
ヒカルさんは、似てる似てると思ってたそのヒロくん・・・なのか?
極力小声に努める。
「ヒロくん・・・?ほんとに?」
「本当だ。諸伏景光、長野から来たの同級生、一人俺達の共通の友達の名前を挙げるとしたら、降谷零」
「わ・・・本物だ」
「だからだな、俺は本当は黒田側の人間じゃなくて、の味方だ。それで、も俺の味方になってくれないか?」
「・・・どういうこと?ごめんね、頭悪くてよく分かんない」
「勉強出来ないのは相変わらずか?」
「まあね。自慢することでもないけどさ」
「じゃあ・・・ちょっと場所を移そうか、人前じゃ話しづらい」