第7章 天城家の娘として…
履き慣れたヒールでカツカツと少しだけ音を立てて辺りを歩く。
周りの人からは
“天城のお嬢さんよ!相変わらず清楚な方ねぇ…”
“可愛らしい方よねぇ!”
“是非、私の息子の嫁に欲しいものだなぁ”
“羨ましいわぁ!”
“綺麗な方だわ!憧れよねぇ…”
私には聞き慣れた言葉が飛び散る
心の中で“うるさいな…”と呟いていると見慣れた後ろ姿を見つけたので挨拶をしようとその人に近づいた。
『おじさま!!』
伯「あぁ、那茅さん!また一段と綺麗になって」
『まぁ、ご冗談がお上手ですわ』クスッ
伯「あはは!まぁ、気持ちだけでも受け取っておくれ」
伯父様。おじさまは九条総合病院の院長であり、私の幼なじみの《九条忍》の父である。
何故か…
なぜか……
ナゼカ………
おじさまに私は気に入られている。
…まぁ、私も嫌いではないので良いんだけど←
『はい。そう言われると、女は誰でも嬉しいですわ!』
伯「そうかい、それは良かった」
『うふふっ』
伯「そうだ那茅さん、今日は忍も来ているよ、ぜひ挨拶をしに行ってやってくれ」
『ええ、もちろんですわ』
伯「では、私はもう行くよ。また話を聞かせておくれ」
『喜んで、私もご挨拶をしに行かなければならない方が来てらっしゃる様なので』ではまた…
そのあとも知り合いやお世話になっている方などに挨拶を済ませ、週に一度は会っているから挨拶などいらないだろう忍の元へ向かった。
…というかこの会場で会った人が30~50代の人ばかりで10代の私は会話を合わせるのに疲れたため、気分転換に忍を探していた。