第4章 俺の親愛なる
『可愛すぎて自分が腹立つくらい自重できないからやめて、普通に襲いたいからやめて』という趣旨の言葉を大分端折った僕が荻原を見るわけだけど、当然彼女は何処吹く風。
「実は蛍君、飛雄ちゃんのこと好きなんじゃないのお?」
「…はああ?」
でしょでしょ、当たりでしょ?とかなんとか言って、荻原が僕に笑いかける。
120点に可愛い笑顔だけど、その邪推は頂けない。
荻原でもギリ許せるか許せないかの境界線だ。
いやまあ荻原の可愛さは免罪符だから当然許すけど。
「飛雄ちゃんのことが好きだからあ、あのらっきょくんの言ったことに腹立っちゃったんだ?
飛雄ちゃんのことディスっていいのは僕だけだ、みたいな独占欲?何それ、超美味しい」
完全にからかいモードに入ったらしい荻原。
今日も異常なほど可愛くて押し倒したいけどその妄想は心底やめて。
「何言ってんの、そんなわけないデショ」
「嘘だあ、だからあんなにオーラドス黒かったんでしょ。いつもだけどさ」
「だから違うって。ホントバカなのキミ」
「蛍君と同じ進学クラスだもん、バカじゃないもん!みんなには内緒にしておいてあげるね」
秘密の恋路だね、なんてハートマークを付けてヘラっと笑う彼女。
昨日も今日も明日も文句なく可愛い。
「…お前の思考回路どうなってんの。付き合ってらんない」
「照れるな照れるな、もう蛍ちゃんツンデレだなあ」
語尾にハートマークを付けて、好きなくせに~とか言って、僕の二の腕をペチペチする荻原が悶絶級に可愛い。
好きだけど、キミのことが。
なんて心の中で反論してみる。
声に出したら人生終わるから言わないけど。
荻原があまりにも可愛いからそういうことにしてやってもいいかなとか思ってしまう。
そんなことを考える僕は心底重傷だけど、可愛いの前には全面降伏しか有り得ないと誰かも言ってたし仕方ないのかもしれない。