第3章 惚れたら負け
「ツッキーどしたの、サイズ合わなかったのそれ」
山口が会話に割って入る。
ふざけんなお前は入ってこなくて良い。
あっちに行け今すぐ行け消え失せろ。
「あ、同じクラスの」
荻原が山口に笑って話し掛ける。
ほら見ろバカ山口、うるさくするから荻原の興味が僕からお前に移っただろうが。
「え~と、ゴメン何君だっけ。同じクラスなのはわかるんだけど」
「あ、うん。山口だよ。山口忠。よろしくね」
「山口...じゃあグッチーだね!よろしくグッチー、荻原ひまりでーす!」
「知ってるよ。荻原さん派手だもん。てかグッチー?」
「山口とか川口とかの名字の人大体グッチーじゃない?
やなら別のにする?
あだ名の方がチームメイトっぽくていいじゃん!」
ね?と荻原が笑えば山口も釣られて可笑しそうに笑うのが最高に気にくわない。
コイツ、後で殺す絶対殺す。
「なあ、さっきから何話してんだ?」
とオレンジ色の髪のチビちゃんが割り込んでくる。
しかも王様まで連れて。
そして王様は不本意そうだし日向は落ち着きないし。まとめてどっか行け。
「あ、さっきのマネ候補の人?おれ一組の日向翔陽!よろしく!で、こっちが影山」
日向がいつもの通り人のパーソナルスぺースに躊躇無く踏み込み、荻原に話し掛ける。
相変わらず王様は不本意そう...と言うより単に人見知りなだけか?
「ちわす」
あ、一応王様も挨拶くらいは出来るんだ。
ホントに一応だけど。
「うん、よろしく!四組の荻原ひまりです!グッチーと蛍君と同じクラスだよ~」
コミュ力高い者同士でさっさと打ち解け合うのだけは辞めて欲しい展開だった。
日向が図々しい。
ちょっと予想以上に図々しい。
女子相手なんだから少しは遠慮してよ。
「あ、影山君って一年三組の?」
「?そうだけど」
「やっぱり!黒髪で背が高くてエース?の人でしょ!うちのクラスで噂になってたよお、だから影山君だけ前から知ってる!」
「噂?」
何の噂?と日向が横から口を挟む。
多分それ深く掘り下げない方が良い話題だと思うけど、どうせ困ったことになるのは王様だけだしこのまま放置だよね。
「うん、三組の影山君がカッコイイって。後、プリンスってあだ名なんでしょ?イケメンだしピッタリだね?」
「「「プリンス???」」」
事情を知らない日向影山山口の声が揃う。
