Eve innocence 【D.gray-man】
第2章 始まりの場所
イブは、真夜中傷が疼いて目が覚めた。
「ウッ。痛ってぇー。」
周りは真っ暗でなにも見えなかったが、
月の明かりが微かに差し込んでいたおかげか
そこまで不安感はなかった。
(グゥー。)
「あー。お腹空いたなー。どうしよ3日間。」
実際この傷で空腹感になるとイブは生きる気力が
無くなりかけていた。
「このままいっそ死んじゃえたらいいのに……」
そんなことを呟いていると。
「そんなことしたら俺が許さねぇからな。」
「うわっ!!?びっくりしたー。赤腕??」
気がつくと牢の柵の向こうに赤腕でランプを持って
こちらを覗いていた。
「どうしたの?赤腕??」
「今日夕方コジモに怒鳴られてだろ……それで……ほらよ。」
赤腕はもじもじして恥ずかしそうにパンとホットミルク、小さな林檎を差し出した。
その様子にイブは口は開き、大きく目を開けてみていた。
そして、その後自然に涙が頬を伝っていた……
「おいおい!!大丈夫か?!もしかして、傷が痛むのか?とりあえず消毒と布は持ってきたけどこれ以上はいい物がなくて……よ??」
赤腕がポケットから消毒液と布を出して慌ててイブを見ると
目の前にイブが来ていて大粒の涙を流しながら、俺の醜い手を握っていた。
俺はその動作を黙って見ていた……
「ありがとう…ヒック……赤腕…こんなに誰かに優しくされたのはじめてで…ヒックヒック…もう、私なんて伝えたらいいのかわからないけどヒック……大好き、赤腕。私今…ヒック…凄く幸せよ。」
その言葉に俺は今までに味わったことが無いくらい心が満たされていた。
「そんな大袈裟だぜ。飯持ってきただけだろ?たまたま夕方の話聞いてたからさ……いいから早く食べて傷の消毒しろよ。」
「うん!!」
イブは笑顔で頷いて俺が持ってきたパンを食べ始めた。
その後イブの傷の治療をして、イブが眠りにつくまで
傍にいた。
なんでって…イブが心配で途中からイブが手を離してくれなかったから……
「ったく。世話が焼けるなぁ。しかもそんな幸せそうな顔されたら手が離せなくなるじゃん。」
手を離すのを惜しみながら俺は自分の部屋に帰った……