第4章 甘味仲間
誰か教えてください。何故に今、こういう状況なのでしょうか。
私の隣には舞さんと秀吉さん。三人並んで仲良く城下へお買い物。
…舞さんと秀吉さんは恋人同士で、私はただの付き添い。え、これって明らかに私…邪魔だと思うんですけど。
事の始まりは昨日。
信長に仕事をもらった翌日から、針子の技術を針小部屋の筆頭、絹に厳しく叩き込まれたさくら。
元々裁縫は得意で、尚且つ手先は器用なので、この短期間で仕事を丁寧に素早く仕上げることが出来るようになった。
針子の仕事は楽しいが、もちろん休みだってある。それが今日だった。
友人と呼べる人がいるわけでもなく、することもないので部屋に籠もって習ったところの練習でもしようかとひとり言を呟いたら、絹に息抜きも必要だと心配され、秀吉に相談されてしまったのだ。
それを聞いた秀吉は舞に相談し、三人で城下へ出かけようと言う話になった。そして現在に至る。
「絹が心配していたぞ。今日はしっかり息抜きしろよ」
すみません、無理です。
…と言えるはずもなく、苦笑することしかできなかった。
どう考えたってこの状況、さくらは邪魔者だ。だがそう思ってるのは本人だけで、舞や秀吉は邪魔だなんて思っていない。寧ろ一緒に楽しもうと考えているのだ。
「ねえさくらちゃん、どこ行きたい?」
…貴女たちのいないとこなら何処へでも。なんて言えたらどんなに良いか。
「…取り敢えず甘味屋、かなぁ」
「いいね!じゃあ早速行こ」
何食べようかなー、と嬉しそうに秀吉の隣を歩く舞を見て思う。
やっぱり邪魔しないほうがいいと。歩みを止めたさくらを秀吉が気付く。
「さくら、どうした?」
「甘味屋へは私一人で行きますので、場所だけ教えて下さい」
「え?何で??」
一緒に行けばいいじゃん、と不思議そうに言う舞。
そんな舞と、眉間に皺を寄せてさくらを見る秀吉。二人を見て困ったように笑いながら答える。
「二人の邪魔は…したくないので」
「……!」
「じゃ、邪魔だなんて…!!」
二人して顔を真っ赤にしながら「邪魔じゃない」と否定する。しかしこちらも折れるわけには行かないのだ。
「甘味食べたら帰りますから、舞さんと秀吉さんはゆっくり二人の時間を楽しんで下さい。私は一人でも大丈夫ですから」