第4章 チーム
「なんだ、誰も知らなかったのか。まぁいいけどよ、人手足りねぇんだからどんどん使ってくぜ。七瀬、取り敢えずメンバー陣の分析な」
こういう面からバレるとは思ってなかったけど、
「はい」
分析しますか。
「あっ、アサヒさんだ!!!」
旭さんも加入。
迷ってたら成り行きで、だろうけど、町内会チームにいた夕先輩とは同じチームになる。
そして、
「あとはセッターか…。俺やりてえけど、外から見てなきゃだしな…。
お前らの方から一人セッター貸してくれ」
スガ先輩。
「…俺は…影山が入って来て…正セッター争いしてやるって思う反面、どっかで……ほっとしてた気がする。セッターはチームの攻撃の"軸"だ。一番頑丈でなくちゃいけない。でも俺は、トスを上げることに…ビビってた…。
俺のトスで、また、スパイカーがブロックに捕まるのが恐くて、圧倒的な実力の影山の陰に隠れて、…安心…してたんだ…!
…スパイクがブロックに捕まる瞬間を考えると今も怖い。
けど、
もう一回、俺にトス上げさせてくれ、旭」
どんなに劣勢の時だって、いっそ冷酷なほどに冷静にトスを上げるのがセッターだ。
リベロという支えはある。
スパイカーを、仲間を信じることだって重要。
それでも、誰に攻撃を託すのか、決めるのはセッターで、ボールを預ける覚悟がいる。
「…だから俺はこっちに入るよ、影山。
負けないからな」
「俺もっス」
さて、吉となるか凶となるか。
烏野高校チーム
S影山くん
MB日向くん、蛍
WS澤村先輩、龍先輩、縁下先輩
対
町内会チーム
Sスガ先輩
MB滝ノ上さん、森さん
WS旭さん、嶋田さん、内沢さん
Li夕先輩(森さんと交代)
それにしても旭さん、本当にバレー好きなんだなぁ。
サーブ前、バレーボールを突く重い音
バスケほどじゃないけれど、バッシュがたてるスキール音
運動部独特の掛け声
そこにいるだけで、わくわくする。
って、私が言えたことじゃないか。
「…………思うよ」
旭さん?
「何回ブロックにぶつかっても、もう一回打ちたいと思うよ」
それを聞いた途端、夕先輩が旭さんに向けていた、挑むような、試すような目が、ふっと柔らかくなった。
そして、深呼吸ひとつ。
夕先輩を、静かな空気が覆った。
夕先輩はバレーしてる時、ほんとカッコ良すぎ。