第4章 チーム
「「七瀬さんっ!!」」
あれ、私、フラグ建てちゃったかなあ?
「"あさひさん"の教室付いてきて!…ください」
「お願いシャス!!」
状況を整理しよう。
今は昼休み。教室でご飯を食べようとお弁当の蓋を開けたら、日向くんと影山くんが来た。
「えっと…何で?私まだ、お昼ご飯食べてないんだけど」
あと、周りの人の目も痛い。蛍と忠くんに視線でヘルプ求めてるのに、しゃあしゃあとご飯食べてるし。
「…3年生の教室、2人で行くのはちょっと、行きにくいし、」
「月島と山口は嫌で、マネージャーだし!」
2人ともそんなこと気にするんだ、意外。失礼かな?
マネージャーだし、てどんな理由……
「うん、2人で行ってきたらいいと思「よし、行こう!!」…………え、ちょ、待っ、蛍ーー!!!」
引きずらないでーー!
蛍もニヤニヤしながら見てないでー!
手、振ってなくていいからーー!!!
「……誰?」
↑
日向くんと影山くんに両手を掴まれた見知らぬ女子生徒を見た旭さんらしき3年生の言葉。
ですよねー。
「えっと、はじめまして。旭さん?1年男子バレー部マネージャーの七瀬羽奏です。引きずられてきました」
「連れてきました!!」
いやだから日向くん、私がいる必要は?
戻ってきてほしい理由が、2、3年生の元気がないからって…、重要か。
バレーはチームプレイだからね、チーム内がゴチャゴチャしてたら全力なんて出せない。
「ブロックが目の前から居なくなってー、ネットの"向こう側"がぱあっと見えるんです。そんで、
1番高いトコでボールが手に当たって、ボールの"重さ"がこう…こう、手にズシッとくるあの感じ、大好きです!」
「お前もっとまとめてからしゃべれよ」
影山くん同感。
でも、日向くんの言い方だから、伝わることもあるんだろうな。
でもそうか、ボールの"重さ"。
セッターは、ボールの重さを、勢いを、どれだけ殺してスパイカーに渡すかっていう感じだけど、スパイカーはその重さを感じてるのか。
面白いな。
「1人で勝てないの当たり前です、コートには6人居るんだから。…俺もソレわかったのついこの間なんで、偉そうに言えないっすけど……失礼します」