第4章 チーム
「で、旭さんは??戻ってますか?」
あさひさん??
「こらノヤ!!エースをそんな風に言うんじゃねえ!」
青葉城西との練習試合ではレフトのウイングスパイカーは田中先輩だったけど、まだ未完成な感じがした。
そっか、エースがいるんだ。
「旭さんが戻んないなら俺も戻んねえ!!」
そう言って、夕先輩はいなくなってしまった。
根性なし、ね……何があったんだろう?
スガ先輩(あだ名呼びの許可を貰った!)の表情が妙に暗いのも気になるし。
結局、夕先輩は日向くんに釣られてレシーブを教えてくれることになった。
「『エーススパイカー』っていう花形に比べたらセッターやリベロはパット見地味だもんな」
地味……。
影山くんじゃないけれど、ちょっと不満。ま、セッターの良さはそこじゃない。
「けどよ、試合中会場が”ワッ”と盛り上がるのは、どんなすげえスパイクより、スーパーレシーブが出た時だぜ。
高さ勝負のバレーボールで、リベロは小っちぇえ選手が生き残る唯一のポジションなのかもしんねえ」
あぁ、その通りだ。
いくらスピードがあったって、バネがあったって、元々の身長差は埋まらない。それを、縮めることはできるけれど。
「けど、俺はこの身長だからリベロやってるワケじゃねえ。たとえ身長が2mあったって、俺はリベロをやる」
知ってる。
私が憧れた”西谷夕”は、そういう選手だった。
「スパイクが打てなくても、ブロックができなくても、ボールが床に落ちさえしなければ、バレーボールは負けない」
ウィングスパイカーもミドルブロッカーも、スパイカーは攻撃の手札。リベロは守備の要。セッターにとってのスパイカーは支える対象で、その力を120%引き出すのが仕事だ。でも、それが出来るのは、リベロへの信頼があってこそだ。
「そんでそれが一番できるのは、リベロだ」
あぁ、やっぱりかっこいい。
「かっ、カッコイイッ!!」
「!!!バッ、バカヤロウ!そんなハッキリ言うんじゃねーよ。んニャロー!ガリガリ君2本食うか!」
「オス!」
「ソーダ味とナシ味な!」
「オス!」
……バレーやってる時は。