第4章 チーム
対、青葉城西の練習試合が終わって暫く。
「ふわぁぁ……」
今日の授業は数学で終わり。5時間目が頭を使う数学って中々辛い。しかも、数1の先生は、グループワークからの発表形式の授業だから、居眠りもできない。
違う、居眠りすれば、同じグループの蛍に起こされる。
さて、部活部活。
今日から、リベロの人が部活復帰だっけ?
「山口と課題出してくる。カナ、先行ってて」
「了解しましたー、と」
ジャージに着替えて体育館へ。
今日は1番乗り、ならぬ2番乗りだ。
影山くんがペットボトルに向かってサーブを打って、少し右に逸れたか、
あ、日向くん。
バガァン!!という、聞いただけで痛そうな音を立てて日向くんの腕に当たったボールは、そのまま吹っ飛んで体育館の上に上がってしまった。
「おい邪魔すんなボゲ日向ボゲェッ。今、当たったかもしんねえのに!」
……それはどうだろう?コントロールはまだまだかな。威力もまだ上がる。
それはともかく。
影山くんの罵倒はボケばっかだなぁ。
2発目。
これは当たる、
ドッ…
ってこの人……
「西谷夕!……さん」
「おう!……って、俺のこと知ってんのか」
知ってんのかも何も……
「当然です!千鳥山中でベストリベロ賞獲ったときの試合見ました!アンダーが特に綺麗で、完璧にセッターに返るレシーブは見てて惚れ惚れしました!技術も勿論ですけど、チームのムードメーカーとして後ろから支えて士気を上げる理想のリベロ!後ろにいてくれたら、すっごく心強いだろうなって思ってました!あれからずっとファンです!!」
……
…………
……………あれ?
「七瀬さんって、喋るんだね」
!??
「え、そんなに無口だった?」
口をモゴモゴさせながら、日向くんは影山くんと目配せし合った。
「いや、無口じゃないけど、必要なこと以外喋らないというか、話し方がわかりやすいっていうか、沢山喋ってるの見たことなかったから」
そうかもしれない。
雑談とかにも混ざってなかったからなー。基本、聞き手側だし。
とか考えていた私は、真っ赤になった西谷さんが田中先輩に突かれている貴重な場面を見逃してしまったのだ。
とりあえず、
「1年4組七瀬羽奏です!よろしくお願いします、西谷先輩!!」
「せ、先輩!!?お前…可愛いなっ!夕先輩と呼べ!!」
はい!夕先輩!!
