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【刀剣乱舞】私立花丸学園 (短編)

第1章 勉強なんて大嫌い(同田貫)


 高校生になったら勉強がもっと難しくなると聞いて、戦々兢々としていたのはつい数ヶ月前だというのに俺はすでに勉強に対して無気力になっていた。
 恐れていたほど難しくはない、と言う慢心が勉強に対する謙虚な姿勢を奪った。元からおつむの弱い俺がここ私立花丸学園に入れたのは奇跡に近い。入ってからは試験前の数週間だけ仲のいい、何とかという奴に助けてもらってどうにか落第もせず、授業について行っていた。

 高校一年一学期の中間試験を二週間後に控えている今、俺はいつも通りその何とかという同級生に勉強を教えてもらいに行く。

「おい、お前」

 物理の問題集を飽きもせず解き続けているそいつに声をかけた。名前なんて覚えちゃいない。どうせただのガリ勉だ。あんな勉強しかしねえような奴の名前なんて覚える気がしない。

「なんですか」

 相手は怯え半分、面倒くささ半分、と言うような返事をした。

「数Iを教えろ」

 またか、と言いたげな表情をして物理の問題集をしまう。代わりに数Iの教科書と問題集を取り出し、広げた。

「で、今度はどこの何が分からないんですか。ちゃんとどこが分からないのか分析しましたか」

 目も合わせずにパラパラとページをめくる。今回の範囲は中学の復習が大部分で、新しく習ったところなんて二次関数のグラフと最大最小くらいだ。そんなこと分かっちゃ居るが、何分テスト前に詰め込んだ短期記憶で今までを乗り切ってきたため、昔の範囲の復習となると一からやり直さなくてはいけない。

「ああ?全部分かんないに決まってんじゃねえ
か」

 その何たらという奴の態度が透かしているのがかんに障り、キツい口調で言葉を返す。

「・・・・・・そう。じゃあ、これも解けないの?」

 その言葉は哀れんでいるようにも、おちょくっているようにも聞こえた。頭に来る。自分が少しばかり頭が良いからとすぐ図に乗りやがって。しかし今のところコイツ位しかベンキョーを教えてくれる奴はいない。友達は沢山居るが、皆俺と同じ程度の出来だ。
 仕方なく指さされた問題を解くと、あっさりと解けてしまった。
「べらぼうめ。俺がこんなのも解けねえとでも思ってやがんのか」

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