第3章 彼女が家族になった日
施設から出ると見たことも無いような大きな車が止まっていた。
『大きい……』
『だろ?あ、そうだ、自己紹介していなかったね、今日から君の新しいお父さんになるパン・シヒョクだ…』
男が名乗り手を惹かれながら、彼女は車に乗せられる。
そして、着いた場所はこれまた大きな家だった。
家に入ると中はやけに静まりかえっている。
「ハジェ!帰ったよ!」
ハジェ…そうシヒョクが呼べば、やつれ顔をした悲しげな女性が現れた。
どうやら、彼女はシヒョクの妻のようだ。
彼女はハジェを見ると、小さくぺこりとお辞儀をする。
ハジェは彼女を見ると、ビックリしたようにシヒョクを見た。
「シヒョクさん…どういう事?この子は?」
「ハジェ……私はね、君が最近ずっと悩んでいるを知っていたんだ……だから、あの子の事が辛いなら、それを埋めるくらい愛してあげる子供を引き取ることにしたんだ…よ…この子はサユ………あの新聞に出てたニュースの子だよ………」
そうシヒョクは動揺しているハジェに言うが、ハジェは顔を歪め、彼女を見て言った。
「シヒョクさん…あの子の変わりなんていないのよ!」
「ハジェ!!」
叫び走って行くハジェ…
彼女はその言葉でこの家で起きた事を理解する。
『なるほど……シヒョクさんの奥さんは……子供を無くしたばっかなんですね…』
『よくわかったね……でも、ゴメンな…いきなり、こんな…つもりじゃ無かったんだが……』
『いえ、大丈夫ですよ……だって…辛いと思いますから…』
本当にこの子は7歳なのか?
彼女は冷静だった。
でも、彼女はハジェが入っていった部屋を悲しそうに見つめながら、笑っていた。
『これからよろしく』
『はい……よろしくお願いします』