第15章 ファンウサギ
「どうしました?」
「っ……」
首を振る彼……
彼女は彼に目を合わせると、宥めるように微笑んだ。
「…不安ですか?」
「っ」
彼女の言葉に彼は顔を歪め
彼女はそんな彼の表情に目を瞑った。
「不安で当たり前です……だって、私達はこれからどうなって行くのか、分からないんですから……それに、前会った時、
貴方は私にデビューしたら一番に見て欲しいって言ったでしょ?」
彼は彼女の言葉に大きな瞳をさらに大きくする。
覚えててくれた?
「っ……覚えて…てくれたんですか?」
「忘れませんよ……だって、言ったでしょ?貴方は素敵な歌手になれると、
それに、そんな素敵な貴方と素敵な兄達とデビューを一緒に出来るんです。
楽しくて、嬉しくてしょうがありません!」
彼女のこの言葉に、彼女以外の全員が彼女に笑う。
あぁ、君はやっぱり、憧れで、素敵な
……素敵な歌姫だ。
そして、ジョングクは拳を握りしめ、兄達を見る。
「中々話せなくて、っすみません……どうしても不安だったんです。ダンスとか出来ませんし……歌しかやって来なかったからっ……誰かの補欠でいつかは、デビュー出来ないのかなって……」
再びの涙と彼の心の声に
兄達が嬉しげに口を開いた。
「なんだ?補欠?なわけないじゃん!」
「そうだな……お前、若いし、まだ、伸びるぞ……」
「そうだよ!ダンスだって、ナムジュンとジンヒョンより上手いよ!」
「ホソガの言う通りだよ…俺より上手い……歌だって凄いじゃないか……」
彼等の言葉は彼の不安を一瞬で溶かす。
そして、その状況を作ってくれた彼女を彼は見る。
彼女は彼の視線に気づき再び微笑むと、手に持っていた。袋を皆の前に差し出した。
「メンバーが6人も揃った記念です!」
中身は人数分のアイスであり、
彼女は続けて楽しそうにこう言った。
「誰よりも幸せなグループになるといいですね!」