第8章 暗がりと彼女
これは、彼女のトラウマの1つなのだろう
そりゃ、平気な訳ない……
彼女は2歳から7歳まで、ずっと、地下室に閉じ込められていたのだから、
前にシヒョクは2人に彼女と出会った日の事を話した事があった。
あの子はね、みんなに親に捨てられたのに、酷いことをされたのに、人形のように無表情で、薄情だとか、感情がないだとか、散々言われていたんだ。
彼女は1人だったよ………言語もわからず。
だからね、ずっと気持ちを抑えてきたのだろう。
誰にも助けて貰えず、独りでずっと……
でなければ、毎日魘される程、夢なんて見ないだろう?……辛くないはずないんだよ
私達にも、他人にも見せないがね……
と、
彼女はずっと、あの日のままなのだ。
痛くて、辛くて、悲しい彼女の気持ちは
消えないほど彼女の頭に焼き付いている。
だから…人見知りで、今回もきっと、昔の事を思い出したのだ。
『暗いのやだよっ……怖いようお母さん』
日本語でなく彼女に
2人は思う。
何故、彼女は傷つき続けなければ、ならないのだろう……
もう散々苦しんだのに、何故周りは彼女を日本人という括りに納めるのだ。
関係ない……彼女は小さい少女だ。
普通の10代の女の子なのだとわかってやって欲しい…
「ユンギヒョン……サユ寝ちゃいましたね…」
「そうだな……」
「彼女はやっぱり、独りじゃダメな子ですよね……」
「そんなの、家の会社全員が知ってるだろ?」
「そうですね」
ユンギとナムジュンは寝ている彼女の顔を覗き込み言う。
君は独りじゃないんだと……