第27章 MV撮影
理由は彼女にも夢があるからだ。
「はあ?なら潰す!?」
「…っ…それも、嫌です。」
「なんなのよ?」
「私、。どれだけ、言われたって、大好きな人達の為に、大好きな人達と歌うことを諦める気はありませんっ……それに、私は大好きな人達をもう一度、あの最高の場所に連れていきたいから!!」
「最高な場所?なんだよ?それ?」
「世界です………」
「世界?」
「私は世界に彼等と行くつもりです。
そして、これは現父の夢…………
だから、貴方にその覚悟がおアリなら私は譲るでしょう…ですが、早々にお渡しする気もありません!……」
人が怖いはずの彼女は夢を
怖がっていた女に無表情で告げている。
彼女が無表情の時は彼女が感情を隠しているとき。
だから、彼等は本当は今にも泣きそうなはずなのに、
それを抑えてまで、自分達と世界に行きたいって言ってくれている彼女を
みんなで抱きしめた。
あぁ……君はどこまで、俺達を虜にするのだろう……
「あの……監督、やっぱり彼女下ろしてください……」
ナムジュンはそう笑った。
そして、ジンとユンギもセジンに呟く。
「そうだね……僕達は8人で僕等だから、今更、違う人はごめんかな……ヒョン、あの人変えてもいい?」
「俺も、セジンヒョン…違うやつなんて、入ったって、曲の監修1人でやらなきゃなんなくなるし、つうか、お前、曲作れんの?」
「っつくれないけど……」
「なら、却下で?」
最後に黙っていたジョングクは彼女を見て言った。
「安心して、俺達は君から離れない。
だから、最初からあの人なんて願い下げなんだよ…サユ……
俺達は8人でBTSだから………」
彼女はみんなの言葉に下を向き涙を流した。
どうやら、隠しきれないほどの感情が溢れてしまったらしい。
そんな彼等の姿に、監督は胸をうたれる。
そして、放心状態の女に言った。
「悪いが、帰りなさい。
私は、彼等の意志を尊重する。
そして、君の事務所に私は協力しないと伝えてくれ!」
「なっ、なんでですか?」
「分かっているだろう。君は協力側の人達を傷つけたんだ。当たり前の処置をとられて当然だろう……」
監督の言葉に女は顔を歪め、その場を後にするのだった。
さあ、邪魔者はいなくなったから、
「〝笑って〟」