第22章 ウサギの門出
「え?」
目を見開く彼女
ジョングクはそんな彼女に微笑み呟く。
「俺、最頑張るって言ったでしょ?」
「っ……そうですが……」
彼女はやっぱり悲しげだった。
帰って来なかったらどうしよう……
「っ……」
彼女の不安とは裏笑にジョングクは彼女の頭を撫でる。
「俺はサユから離れないよ……だけど、最、俺は技術も学びたいんだ。歌を…ダンスを………君と歩んでいく為に」
ジョングクの言葉に彼女は上を向く。やはり、彼女の目には涙が溜まっていた。
「ジョングク君……ジョングク君……寂しいけど
応援しますよ……だって、サイン会でも言いました。
貴方は素敵な歌手になれると………だから
私は待ちます。けど、………っ……絶対、皆さんの元に帰って来てくださいっね?」
そして、彼女は思いを伝える。
その姿はきっと誰よりも綺麗だった。
ジョングクは笑顔になる。
必死にストレートに思いを言ってくれた。目の前の彼女に感謝して、
沢山の思いを胸に秘める。
彼女はそんな彼に笑う。
「だから……っ………私も泣きませんよっ」
彼女を絶対に幸せにする為に。
色んな場所にもう一度彼女を連れて行けるように、
やっぱり、もっと、君に近づかなきゃ………
だから、待ってて?
「うん!必ず帰るよ……そうだ、サユどうせなら敬語辞めてよ。俺達同い年なんだから、」
ジョングクの笑に、彼女は恥ずかしげに下を向く。
「うっ……敬語は癖ですのにっ……
だけど、………」
彼女はジョングクの瞳を見ると、。
「行ってらっしゃい!グウ……待ってるから」
あだ名だった。
不意打ちだ。ジョングクはそんな彼女に顔の熱が籠る
「あだ名とか、っ不意打ちすぎっ」
「嫌?」
「違う。嬉しいよ」
ジョングクはそんな彼女の事を引き寄せ、抱きしめた。
「行ってきます…!サユ…必ず戻るよ」