【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第15章 忘れ物
風見と別れた後、どうしようかと思いながらも雅はショッピングモールに向かった。もう一度ポアロに戻る勇気がなかったのだ。
「…そぉだ。」
そうして雅はメンズコーナーに急いだ。しかし着いた後にはっと気付くと立ち止まる。
「何がいいんだろう…」
降谷に気付かされた初めて会った日。そのお礼と今後に対しての事を兼ねてなにかをあげたかった。しかし何をあげたらいいのか解らなかった。
時計も、スーツも、全て揃っている。何をあげたらいいか。迷っていると店員がやって来た。
「何かお探しですか?」
「えっと…」
「お誕生日?…ですか?」
「誕生日…ではなくて」
その時ふと雅は思った。降谷の誕生日を知らないのだ。
「えと、いつもお世話になってる上司に昨日がちょうど2年目で。そのお礼と今後もお世話になるので…」
「なるほどですね。どんなものを探していらっしゃいますか?」
「どんなのがいいのか…困ってて。」
「そうでしたか…」
うーんと考え込む雅を見て店員は一緒に考えていた。
「でしたらネクタイや、シャツや…そういうのもいいと思いますよ?」
「そっかぁ。」
そうして雅は悩んだ挙句にネクタイを1本選んだ。なんてことの無いディープブルーの地に折柄で小さなドット柄が入ったものだった。
「こちら絹ですのできっと喜んでいただけると思いますよ?」
「そうだと嬉しいんですけど…」
少し照れた様子で雅はギフト様に包んでもらったネクタイを受けとった。賞味1時間以上かかっただろう。これほどまでに時間のかかった選びものは自身の分では絶対にありえなかった。それでも嬉しそうに鞄の中にしまった。
「忘れ物…もう少し後に届けたらよかったかな…」
そう考えながらも今度はこれをいつ渡そうか…と考える次第だった。
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