【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第2章 な…なんですと!?
「成瀬さん!!お先に失礼します。」
「うん、お疲れ様」
そうしていつもと同じように先に帰る仲間を見送る雅。
「あれ、成瀬さん。今日も残業ですか?」
そう聞くのは後輩の女の子。
「(そりゃ私だって早く帰りたいさ…っ!!)…まぁ仕方ないよ。気を付けて・・」
「はぁい!お先に!」
髪の巻き直しまで完璧に終わらせたその後輩もまた帰って行く。
…この居残りの女性こそ、ZEROの紅一点である、成瀬 雅。
しかし、仕事が残っていると言っても、自身の仕事が出来なさすぎての居残りなどではない。その逆…出来過ぎるが故、仕事は回ってくる。それに加えて上司である降谷の分も、雅は取り纏めてやる事が多いのだった。
その上司…普通で言ったら部下に仕事を丸投げて何をしているのだ!という事にもなりかねないのだが、このZEROはそんな事は無かった。そう。少しだけ他の部署とは勝手が違っているのだ。
「後少し…あと…す…こし……・・ヤバい…さすがに…」
雅以外誰もいなくなったその部屋で、ただ1人パソコンに向かっていれば当然の如くに襲ってくるその眠気…
そんな半ば誘惑にも似た『もの』に気付けば雅も堕ちかけた……
「…・・ーーー。…こら、成瀬雅」
「はいっ!!?」
恰も『ずっと起きて仕事していました』感を出しつつ、平静を装うもののくすくすと笑うこの男には通じなかった。
そう、雅の残業の原因である、降谷その人だった。
「寝るならここではなく、家で寝ろ」
「寝てないです…よ!…それよりお疲れ様です!いつ戻られたんですか?」
「5分はとっくに経っている。」
携帯を操作しながらも答え、すぐにポケットにしまい雅の作業するパソコン画面に目を移した。
「…にしても、今日は……・・って、ハァ、これ、僕の仕事だろう?」
「はい…。さっとやって帰ってれば影武者感はばっちりだったんですけど…ばれちゃいました…」
1つ深呼吸をしながらもハハっとわらいマウスを持ち直す雅。その時だった。
トンッ…・・
背中越しに重さを感じた長後に雅の左側に手を付き、マウスを持つ雅の手の上に少しひんやりとして、細みながらも骨ばった手が重ねられる。