【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第25章 砕かれた夢
「まぁ、安室さんならイケメンですから?そんなへまはしないと思うんですけど…」
「イケメンって…ハハ」
「本当ですよ?安室さんはそんなへま、嫌われたくなかったらしない方が良いです。女なんて、確かに夜景のきれいな所とかって言いますけど、結局は雰囲気だったり、相手の誠実さがもの言うだけなんです。そりゃ夜景だったり?景色が良い所だったりしたらそれはもう最高かもしれないですけど、やっぱり傍の空気だったり誠実さだったりってすると思うんです。付き合って半年足らずで、そんな空気読めない時だから相手の人もフラれちゃったんじゃないですか?それに対して安室さんがどうこう気落ちする事ないですよ?!」
何も知らない事とはいえ、梓の優しさからの言葉の弾丸は安室の心を見事に打ち砕いて行った。
「あ、いらっしゃいませ!」
そう笑顔を見せながら梓は接客に精を出す。さっきの梓の言葉が執拗に安室の心を揺さぶった。
「やっぱり少し早かったか…」
「安室さーん!早く手伝ってくださいよ!」
「はい、ただいま。」
そう答えながらも気を取り直して安室はキッチンに立っていた。
side 雅……
昨日の降谷の言葉が何度も頭をぐるぐると回っている。
誰かに相談したくとも誰に相談したら良いのか…女子の友達は警察学校に入った時点で居なくなった。こんな恋バナが出来る相手などいなかった。仕事に身も入らずため息ばかりが襲ってくる。
「…ぃ。……おい!成瀬!」
「え?あ…風見さん。」
「ずっと呼んでるのにボーッとして、どうしたんだ、めずらしい。」
「あ。…すみません。」
その一言を残したあとは俯いていた。横の椅子に座り頬杖を付いて雅に問うた。
「昨日の出掛けたのが何か引っ掛かってるのか?」
「昨日…あぁ、組織の…。いえ、それは特に問題なく。」
「それ『は』ってことは何か他にあるんだな?」
「……風見さん。」
「な…なんだ?」
「笑わないで聞いてくれますか?」
「まぁ、笑いはしないが。」
「降谷さん…怒ってますかね。」
「降谷さんとなにかあったのか?」
「傷つけたかも知れないです。」
雅の口から出てきた言葉は風見の予想を超えた、思いもよらないものだった。