【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第24章 接触
こうして他愛もない会話をしていた最中。ベルモットの携帯に電話がかかってきた。
「…si…もしもし?…どうしたの?」
『さんざんな物言いだな。 忙しいか?』
「えぇ。いま取り込み中。」
『そうか。明日、予定通りに進める。いいな?』
「えぇ。解ってるわ?ジン」
その最後のひと言で雅はなぜ電話に出る前のベルモットが『黙っていて』と合図したのかを察知した。そう。その名前は降谷からも何度と聞いてきた名前だった。
「…ごめんなさいね?急な電話で…」
「いえ…」
「それじゃぁ、行きましょうか?どこか来たい所はある?」
「いえ…今日は何も考えられなくて…」
「そう、なら。……私の買い物に付き合ってくれるかしら?」
「はい!ぜひ!」
そう言いながらも立ち上がったベルモットはスッとレシートを取り上げると、そのままレジに向かっていった。
「あの…私…自分の分は…」
「いいのよ。私が誘い出したのも一緒だから。今日は黙って奢られなさい?」
そう言い、またニコリと笑ったベルモットの顔に『ありがとうございます』とお礼を言った雅に嬉しそうな表情を浮かべていた。
それからカフェを出ると、ベルモットが良く行くというアパレルショップに向かった。
「いらっしゃいませ。今日はどのような?」
「私じゃないの。ゆっくりと見させて貰うわ?」
「かしこまりました。」
そうしてゆっくりと見て回る。いくつかハンガーを取ったベルモットは、そのまま雅に渡し促されるまま試着をさせた。
「……イマイチ」
そう言うと半ば強引にもカーテンを閉め、着替えさせる。最後の1着でベルモット自身も気に入ったのだろう。
「OK。決まりね?」
あおういい着替えさせると、ベルモットの見立てで雅は服をプレゼントされた。
「あの…!ダメです!こんな高価な…」
「いいのよ。大丈夫。気にする事じゃないわ?」
「でも…」
「あら、それよりも他のが良かったかしら?」
「そうじゃなくて…」
「すごく似合ってたわよ?」
有無を言わせないベルモット。その勢いは止まら無かった。嬉しそうに服をプレゼントし、靴、鞄とそれぞれ購入していく。使い様には普段にも、少し洒落た場面でも使えそうなものばかりだった。ひとしきり買い物を済ませたベルモットと雅は一息つこうとランチに向かった。