【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第22章 …Are you ready?
「零?もぉ食べないの?」
「雅も食べすぎはよくない。」
「ならこれ貰っていい?お昼に食べる!」
「構わないけど…いいのか?それで」
「これが良い!」
「クスクス…」
後ろからトンッと重さを感じた雅。ふわりと前に回る栖谷の腕に包まれていた。そのまま、こめかみにキスを落とす。そうして支度を始める2人。数分の事で終えた2人は玄関に向かっていった。
「さて…と。それじゃぁ行くか。」
「ん!」
「とりあえず君の車を取りに行かなくてはいけないから…署に向かうとするか。ついでにこれも風見にも渡せるし。」
「それならついでに私渡そうか?」
「そうしたら風見に文句の1つも言えない。」
「文句って…何か言う事ある?」
「大有りだ」
「それって…今朝の電話の事?」
「…あれ以外に何がある…?」
「でもあれは仕方なかった事だし…それに直じゃないし…ちゃんと毛布にくるませてくれたし…」
「当然だな。」
「もぉ……それならお仕事は?ついでにしたら?」
「…なるほど」
「ふぇ?」
「そんなに俺と一緒に居たいのか…」
「ばっ!!……な……」
「クスクス…本当にかわいいな…雅は…」
「そんな事…!!言ってない!」
「確かに聞いて無いが、思ってはいるんだろう?」
「……!…そんな事ないもん」
「はいはい、そうしておくか」
そう笑う降谷とぷぅっとしている雅。両極端すぎるその表情はいつもの光景だった。そうして走る事、すぐに署に着いた。駐車場で自身の車に乗り替えた雅は嬉しそうに車を出し、自宅に戻っていった。
―――――・・
その頃の降谷は風見と会っていた。作り過ぎた朝食での弁当を渡しながらも昨日の件を聞いている。
「…――――、なるほど…そういう事か」
「はい…すみません…自分がもう少し早ければ…」
「仕方ない。風見が悪い訳じゃ無い。」
「そうですが…」
「……っ、すまない。はい。」
そうして降谷は風見との会話を中断して電話に出る。短いもののすぐに通話は終わる。
「どうかされましたか?」
「いや、上からの確認だ。」
「…降谷さん…」
「なんだ?」
「あの…昨日は致仕方ないとはいえ…その、すみませんでした。」
「…気にしなくていい。もとはと言えば成瀬のやり方が間違っていたのが元の根源だからな」
そういい降谷は笑っていた。