【降谷零】意地悪すぎだよ!降谷さんっ!!~翻弄しすぎの上司~
第20章 レンタル彼氏…?
「いわれてみれば…そうだな」
「だからデータベース調べてるんです。時間かかるかも知れないので、降谷さんも先に帰ってください。今日のでお疲れでしょうし…」
「…なんか…棘あるな」
「そう思うという事は…やましい事でもあるんですか?」
「僕が?ある訳無いだろう…」
「………・・・あった」
「だから…!」
ギシリと椅子を鳴らしながらも背凭れに寄り掛かる雅。そこには数年前に降谷に確保された被疑者である事実が浮き彫りになっていた。そうしてその画面を見せると降谷の頭の中に思い起こされてきた。
「…なるほど…僕への恨み…という訳か…」
「明日…気を付けてくださいね?」
「そうする。」
そのデータを保存し、パソコンを閉じると片づけを始める雅。風見にひとまず連絡を取り、そのまま帰宅して構わないと、伝えた。少し驚いたものの、『解りました、お疲れさまです。』と答えが返る。
雅は片付けながら降谷に顔すら向けず話し出した。
「……それで?」
「ん?何がだ?」
「…今日は楽しかったんですか?」
「フ…気になるのか?」
「別に。…気に何てしてません。」
そう言いながら鞄を持とうとした時、背中からふわりと抱き締める降谷。
「俺としては気にしてほしい所なんだが?」
「…だって…気にするだけ……損です」
「なぜ?」
「気にしても絶対いう事一緒だもん、『今日のは降谷じゃなくて安室だ』って。そんな答え来るの解ってて気にしたって……」
「…そうか」
ひと言のこして降谷はそっとその腕を離した。ンッ…と背伸びをすると背中を向ける降谷の方をちらりと見て雅もまた鞄を持ちあげる。そのまま一緒に部屋を出ると誰もいない暗い中、きゅっと服の裾を持ち背中にトンっと凭れた。
「零の…バカ」
「……雅?」
「なんでそんな……レンタル彼氏なんて引き受けたのよ…2回目受けたら…本気で怒るんだから…」
「やっぱり怒ってたんじゃないか…」
「今の…独り言だもん…」
「大きな独り言だな…全く…」
そう言うと鞄を取り上げて『帰るぞ?』と優しく笑いかけた降谷の横を手を繋ぎながらも雅は歩きだした。