第10章 春高前のひと時。
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「木兎、上着ありがとう」
「ん?ああ、もう大丈夫?」
「うん、木兎が今度着ないと本当に
風邪引いちゃうから」
「まあ最悪、体育ジャージあるし大丈夫だけどな!」
ワハハ!といつも通りに笑う。
その姿を見て、余計に安心する。
人を安心させるのが上手な人だ。
そう思った。
「ほらほら!どうせ明日も練習するから
今日は早く帰んぞー!」
「うん」
「そういや、もうふらつかない?大丈夫か?」
「大丈夫だよ、ありがとう」
そんな話をしながら帰路に着く。
予選まであと少し。
少しでもいいコンディションにしないと。
木兎の事も、私自身も。
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